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真備の被災者 感謝、後悔を川柳に 西日本豪雨5年、住民団体が句集

西日本豪雨の被災者から募った川柳を収録した句集
西日本豪雨の被災者から募った川柳を収録した句集
 2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた倉敷市真備町川辺地区を拠点に活動する住民団体「川辺復興プロジェクトあるく」が、被災者から川柳を募り、句集にまとめた。73句を収め、支援への感謝や復興に向けて前を向く気持ちをつづる一方、5年が過ぎてなお残る後悔やトラウマ(心的外傷)を赤裸々に表現している。

 川柳は、被災の経験を語り継ぐとともに今の心境を吐露する機会にしてもらおうと、川辺地区まちづくり推進協議会の協力を得て昨夏募った。川辺地区在住者と元住民の約30人から集まり、6歳から80代までの全員分を収録した句集(A5判、29ページ)が昨年11月に完成した。

 〈わすれないやさしい心ありがとう〉といったボランティアらへの感謝や、〈水害の教訓いかし五年目に笑顔いっぱい真備の郷〉と前向きに歩む決意を詠んだ。

 一方で、〈大雨の日すぐ来る不安ねむれない〉〈雨が降る大丈夫かと雨に聞く〉と拭えない恐怖、〈声かけず避難したこと後悔する〉と変わることのない思いも多く寄せられた。〈復興はまだ道半ばと知ってほしい〉と災害がまだ終わっていないと訴える作品もある。

 句集は応募者や関係者に配布。作品は川辺地区の防災イベントなどで公開していくという。

 あるくの槙原聡美代表は「まちの復興と心の復興は比例しない。皆さんの思いや教訓を伝え続けることが大切で、忘れてはいけないこと、自然が教えてくれたことを受け止めて活動に生かしていきたい」と話している。

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