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東城―備後落合間 収支率ワースト JR西、直近3年の平均収支公表

東城―備後落合間 収支率ワースト JR西、直近3年の平均収支公表
 JR西日本は28日、芸備、姫新、因美線など利用が少ない17路線30区間について2020~22年度の平均収支を公表した。前回の19~21年度平均に続いて全区間が赤字。人口減少に加え、新型コロナウイルス禍の影響などで苦戦している状況が浮かび上がった。存廃問題が浮上している芸備線の一部区間については、費用に対する収入の割合を示す収支率が0・6%と前回に続いて全区間ワーストとなった。

 赤字総額は237億8千万円と前回より9億5千万円減った。20年度から本格化した新型コロナ禍で運輸収入が減少したものの、コスト削減が奏功したという。全30区間で赤字額が最も大きかったのは島根県の山陰線出雲市―益田間の33億1千万円。最少は芸備線備中神代―東城間と山口県の小野田線小野田―居能間で、ともに1億7千万円だった。

 収支率は30区間のうち19区間で悪化した。岡山エリアの関係分を見ると、全体平均の10・4%を下回る路線が目立ち、芸備線東城―備後落合間は全区間ワーストの0・6%。コスト削減が寄与して0・2ポイント改善したものの、100円の収入を得るのに1万5516円もの費用がかかった計算で依然厳しい状況が続く。

 芸備線備中神代―東城間は3・1%、姫新線中国勝山―新見間は2・7%、因美線東津山―智頭間は4・1%だった。

 JR西は昨年から、19年度の輸送密度(1キロ当たりの1日平均乗客数)が2千人未満だった30区間を対象に収支を公表している。

 同社地域共生部の須々木淳次長は28日の記者説明会で、30区間について「大量輸送という鉄道の特性を発揮できておらず、全国的に進む人口減少を考慮すると状況の好転は見込めない」と分析。自治体が鉄道施設を保有して事業者が運行を担う「上下分離方式」への転換などを含め、各地域と対策を検討していく考えを示した。

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