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芸備線 「新見市法定協」で議論を 知事 再構築協巡る意見聴取で方針

JR芸備線の存廃問題を巡る協議の在り方について説明する伊原木知事
JR芸備線の存廃問題を巡る協議の在り方について説明する伊原木知事
 岡山、広島両県にまたがるJR芸備線の利用低迷区間の存廃を話し合う「再構築協議会」の設置に向けた国の意見聴取について、岡山県の伊原木隆太知事は21日、新見市が設けている既存の「法定協議会」で国の関与を得ながら議論することが望ましいと回答する方針を示した。一方で国が再構築協議会を設置した場合は「参加する」とも表明。沿線の新見市と最終調整し、期限の27日までに正式に回答する。

 定例記者会見で明らかにした。伊原木知事は岡山県内の芸備線区間について「これまでの利用促進の取り組みに加え、国の関与による鉄道再構築の協議を始める」と説明。協議の枠組みは「新見市の交通体系全体を考える必要があり、法定協議会の方が地域の他の交通手段との整合性が取りやすい」と述べた。

 同市の法定協議会「市地域公共交通会議」は岡山県や中国運輸局岡山運輸支局(岡山市)をはじめ、JR西日本や市内に路線を持つバス事業者などで構成。これに対し、再構築協議会は広島県と沿線の庄原市を含め、より広域的なエリアでの話し合いが想定される。

 伊原木知事はまた、国が最終的に再構築協議会の設置を決めた場合は「参加を拒絶するものではない」と強調。岡山県と新見市の意見が十分に反映されるような協議の体制を求めていくとした。

 再構築協議会を巡ってはJR西日本が10月3日、芸備線の備中神代(新見市)―備後庄原(庄原市)間の68・5キロを対象に在り方を自治体と議論するため国に設置を要請。国は沿線の岡山、広島県と新見、庄原市に対し、協議会への参加意向や設置した場合のメンバー、法定協議会での議論を望む場合の理由などを回答するよう通知している。

 ここポイント! 岡山県が法定協議会を第一の選択肢として示した背景には、JR芸備線は線区の大半が広島県内で、沿線自治体が広域的な視点で議論する国の再構築協議会では岡山県側の意見を十分にくみ取ってもらえないのではとの危機感がある。ただ、新見市が設置している法定協議会はより地域事情に即した話し合いが見込めるものの、鉄路の存廃議論を加速させたいJR西日本とさらなる温度差が生じる懸念もある。一方、再構築協議会の設置については今後、国が広島県側の意向も踏まえながら調整するとみられ、最終的にどのような形で協議が進むかはまだ流動的だ。

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