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池の高濃度塩素酸 県への報告怠る 吉備中央町、担当課2カ月放置

塩素酸の検出後の対応を巡って陳謝する岡山県吉備中央町の山本雅則町長(中央)ら=町役場
塩素酸の検出後の対応を巡って陳謝する岡山県吉備中央町の山本雅則町長(中央)ら=町役場
 岡山県吉備中央町は2日、案田配水池(同町案田)の水から国の基準値(1リットル当たり0・6ミリグラム以下)を超える「塩素酸」が検出されたにもかかわらず、岡山県への報告を怠っていたと発表した。塩素酸は健康被害の懸念が指摘され、国は異常値が確認された際の県への報告を求めている。町の担当課が8月の検査で高濃度を把握しながら、別の部署が指摘するまで約2カ月放置していた。

 吉備中央町では少なくとも2020年度以降、円城浄水場(同町上田西)で有害な有機フッ素化合物(PFAS(ピーファス))が検出されていたことが10月に判明。その際も県への報告を怠ったり、虚偽の内容を伝えたりしており、水道水の安全管理に対する町の姿勢が改めて問われそうだ。

 町によると、案田配水池で8月下旬に行った定期検査で、国基準の1・2倍となる1リットル当たり0・72ミリグラムの塩素酸を検出。9月の再検査でも1・8倍の1・1ミリグラムを確認したが、いずれも担当課が情報を課内にとどめていた。

 塩素酸は配水池の消毒に使う次亜塩素酸ナトリウムに含まれ、長期的に摂取すれば甲状腺への影響が懸念される。水道法で検査が義務付けられ、国は異常値が確認された際は県に報告するよう通知している。町は「担当課にナトリウムの投入量を減らせば済むという安易な考えがあったようだ」と説明。PFASの問題を受けて別の部署が過去の検査結果を調べ、10月31日に判明したという。

 町はまた、塩素酸が高濃度になった要因について、次亜塩素酸ナトリウムを車内や事務所といった気温の影響を受けやすい場所で不適切に管理し、塩素酸の含有量が増えたとの見方を示した。現在は関係箇所を清掃し、数値は基準内に戻ったとしている。

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