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学生と社長 ご飯でつなぐ 岡山の企業知る機会へ初イベント

岡山の企業の社長から話を聞く学生ら(右側)=14日、岡山市北区下石井
岡山の企業の社長から話を聞く学生ら(右側)=14日、岡山市北区下石井
脇田康之亮さん
脇田康之亮さん
 「社長とご飯を食べながら気軽に話をしてみませんか」。就職を控えた大学生らが地元企業を知るきっかけにと、こんなテーマを掲げたイベントが今月、岡山市内で初めて開かれた。格式張った企業説明会とはちょっぴり違った雰囲気の現場をのぞいてみた。

 イベント名は「オカヤマ社長ごはん」。参加企業は運送業、葬祭業、フィットネスクラブ運営など9社。学生側は県内外の20人が参加した。全員が私服やオフィスカジュアルコーデで、お酒や軽食もありリラックスしたムードだ。

 各テーブルに社長や社員が1社ずつ座り、学生側が2、3人一組で順番に回る。1社当たりの時間は10分。企業側は「今日は何で参加したの?」、学生側は「いつか起業したい」「社長の考えを聞いてみたくて…」といった具合に会話が進む。

 あるテーブルでは「時間があるうちに何かやりたいと思うけど、何からチャレンジすればいいのか分からない」と学生。これに対し金属製品メーカー・クレスコ(岡山市)の川井雄之介社長(32)が「自分が『やりたいこと』『やらなきゃいけないこと』『できること』の三つが重なる部分にビジネスがある。まずは自分が得意だな、好きだなと思うことに着目してみたら」と助言していた。

 岡山大文学部3年の女子(21)は「就活では考えていなかった職種の企業からも話が聞けて、思い描いていたイメージが変わった」。時計・宝飾品販売のトミヤコーポレーション(岡山市)の古市聖一郎社長(43)は「自社をアピールするのはもちろん、若い人の新鮮な意見に触れて自分自身の考え方もアップデートできた」と話した。

 次回は9月6日に開催。時間と参加企業は未定。学生は参加無料で申し込みが必要。詳細はインスタグラム(okayama.shacho.gohan)。

企画した脇田さんに聞く


 「オカヤマ社長ごはん」を企画したのは今春、岡山大を卒業後に起業した脇田康之亮さん(22)=岡山市。イベントへの思いや今後の展望を聞いた。

 自分も就活を経験した一人だが、学生が地元の企業を知らないまま、県外の大手企業や公務員を選ぶケースが多かった。そんな状況を変えたいと6月に起業。株式会社TsudoiBaを立ち上げ、今回のイベント開催に至った。

 学生に地元で就職してほしいわけではない。地場企業を知った上で就職先を見つけてもらいたい。すぐに地元を選ばなくても、後のキャリアの選択肢が広がると思っている。

 食事をしながら企業人と話せるイベントは今後も定期的に開きたい。ただ「社長ごはん」と聞くと、身構えてしまう学生が多いはず。人事担当者や入社1年目の社員と話せる場も設けていきたい。

 県出身の学生の地元就職率は全国でも低いと聞く。イベントをきっかけに岡山の企業に関心を持つ人が増えたらうれしい。

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