山陽新聞デジタル|さんデジ

豪雨で提供 岡山県の全仮設解消へ みなし入居 全世帯住まい自力確保

西日本豪雨からの復旧復興が進む倉敷市真備町地区。仮設住宅の解消で被災者支援は新たな段階を迎える
西日本豪雨からの復旧復興が進む倉敷市真備町地区。仮設住宅の解消で被災者支援は新たな段階を迎える
豪雨で提供 岡山県の全仮設解消へ みなし入居 全世帯住まい自力確保
 2018年7月に発生した西日本豪雨の被災者向けに岡山県が民間賃貸住宅を借り上げる「みなし仮設住宅」で、入居している全ての世帯が自力で住まいを確保できる見通しとなったことが18日、関係者への取材で分かった。県はみなし仮設への入居期限を7月5日としており、各世帯との契約解消を順次進める。

 建設型住宅を含めて最大約9千人が身を寄せた「仮設」は役割を終え、豪雨の被災者支援は発生5年を前に一つの区切りを迎える。岡山県は引き続き、被災者の心のケアや地域コミュニティーの再生といった支援に当たる方針だ。

 みなし仮設は発生直後に提供を始め、これまでに3度にわたって入居期限を延長。現在は元の自宅が堤防復旧工事の区域内にあり、自宅再建に支障が生じていることが入居の条件で、4月末時点で4世帯10人が暮らしている。

 関係者によると、入居期限を見据えた県の各世帯に対する意向確認に対し、全世帯が18日までに自宅を再建したり、新たに賃貸物件を借りたりして住まい確保の見通しがついたと回答。期日までに退去する考えを明らかにしたという。

 豪雨では倉敷市真備町地区を中心に県内で約8200棟が全半壊し、県はみなし仮設を最大約3千世帯分確保。倉敷市と総社市の計8カ所に整備した建設型の仮設住宅と合わせ、18年11月のピーク時には3415世帯、9074人が住まいの再建を進めながら生活の拠点としていた。建設型住宅は22年12月までに全て撤去されている。

 豪雨からの復旧復興を巡っては、県内で破損・崩落した河川や道路など約2800カ所を元通りにする工事が完了している。県幹部は18日の山陽新聞社の取材に対し「全ての仮設住宅が役割を終えたことで、被災地の復興は次なる局面に移行する」と述べ、倉敷市などと連携しながら支援を継続する考えを示した。

 仮設住宅 災害救助法に基づき行政が被災者に提供する住宅。プレハブを基本とする建設型住宅と既存の民間賃貸住宅を自治体が借り上げる「みなし仮設」がある。入居期間は原則2年だが、延長措置がある。2011年の東日本大震災で被災した宮城県では、宅地造成の長期化などで自宅再建が遅れて延長を繰り返し、被災した県民の退去完了までに10年を要した。

関連記事

あなたにおすすめ


さんデジ特集

TOP