山陽新聞デジタル|さんデジ

川のプラごみ処分 もっと行政関与強めねば

河川敷付近でプラスチック類を中心にごみを回収し、自分の車に積み込むボランティア
河川敷付近でプラスチック類を中心にごみを回収し、自分の車に積み込むボランティア
 岡山市東区の百間川沿い。ボランティアが河川敷付近でペットボトルや食品トレーなどのプラスチック類を中心にごみを回収し、ごみ袋を自分の車に次々と積み込んでいた。

 一部のごみ袋からは汚水が漏れていた。日ごろ川ごみを自発的に回収しているこの男性は「自分は慣れていて感じないが、家族からは車にくさい臭いが染みついている」と指摘されるという。

 プラスチックごみによる海洋汚染が世界的に問題化している。プラスチックが劣化して微細化すれば回収はほぼ不可能になるため、海に流れ出る前に川などでの早めの回収が求められる。河川の管理者である行政の手が回らず市民活動に頼っている面は大きいが、ボランティア団体や個人がごみを回収しても、持ち帰ってごみ置き場などに出さねばならないケースが多い。

 プラスチックごみ問題の高まりとともに、ボランティアが集めたごみに対して行政が運搬・処分を担う事例も増えてはきたものの、とても十分とは言えない。

 法的には、河川を管理する国や自治体にごみ処理・環境保全の責務や努力義務が定められている。ただ、ごみのたまっている場所は人が近づきにくかったり草木の間の目立たぬ場所だったりして、見過ごされてきた面が否めない。河川行政では、洪水を防ぐ治水対策に重点が置かれ、環境面の対策の予算や人員が不足していることもあろう。

 プラスチックの弊害や微細化した後の行方などの知見が広まったのはここ数年のことで、制度や予算措置が追いついていないのが現状だと言える。将来世代につけを回さないために、可能なごみは回収しておくべきだろう。ボランティアらの負荷を減らして回収を促すよう、予算措置を含めた行政のより強い関与が求められる。

 岡山県では、特に大きな河川の下流域に多量のごみがたまっていることが次第に明らかになってきた。清掃活動でいったんきれいにしても、しばらくするとまたごみが蓄積する状況だ。

 これらの管理者である国、県に処分の負担が回ることになるが、ごみは川に流れ込む用水路などから来ることも多く、主に市町村が管理している。ごみの回収・処分の促進や発生の抑制には、国、県、市町村が連携を強めて役割分担しながら当たることが欠かせない。

コラム

あなたにおすすめ


さんデジ特集

TOP