２０年ほど前、岡山をはじめ広域で犯行を繰り返した「中国人窃盗団」がいた。筆者も留守宅が被害に遭った。当時住んでいたのは単身者が多い集合住宅。数軒のドアが乱暴に壊されていて、荒っぽい手口にあぜんとした▼後で聞いたところでは窃盗団は関西方面から車で来て白昼、人目の少ない住宅地を物色していたらしい。盗まれたパソコンは戻らなかったけれど、逮捕されたと知らされた時はほっとした▼連日報道されている強盗団も関東から西日本まで広域で犯行を重ねていたようだ。実行犯が次々に逮捕され、その供述からグループの実態が分かってきた▼ＳＮＳ（交流サイト）で高額な報酬がもらえる「闇バイト」として実行犯を募集。応募した者は指定された場所で面識のない数人と合流し、これまたＳＮＳで指示された通りに盗みに入る。東京都狛江市の民家では９０歳の女性が殺された▼サイバー空間で知り合った仲間が協力し、与えられた任務を達成していく―といえばまるでゲームの世界である。虚実の境が分からないはずはなかろうが、やすやすと犯罪に手を染める若者たちがいることが恐ろしい▼指示役とみられる人物がフィリピンの入管施設に拘束されていることが分かり、日本への移送手続きが進められているという。徹底した捜査で、全容を白日の下にさらしてほしい。