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被爆前の街 タブレットで“案内” 福山工高生が端末用アプリ開発

アプリの基となるCGを調整する長谷川教諭(左奥)と生徒
アプリの基となるCGを調整する長谷川教諭(左奥)と生徒
再現された商店街が映し出されたタブレット端末
再現された商店街が映し出されたタブレット端末
 原爆投下前後の広島市街を再現したVR(仮想現実)制作に取り組む福山工業高(福山市野上町)の計算技術研究部が、そのCGを利用し投下前の市街地が分かるタブレット端末用アプリを開発した。新型コロナウイルスの影響で戦後75年の節目に予定された催しが中止となる中、「ゴーグルを用いるVRより接触を避けて手軽に体験できる」とし、11日には平和記念公園(広島市)を訪れ、タブレット端末を使って観光客らに原爆で失われた街の姿を伝える。

 アプリでは、中島本通の商店街約200メートルを画面の操作で“歩く”ことができる。セミの声が響く中、県産業奨励館(現原爆ドーム)を右手に眺めて元安橋を渡ると、大正屋呉服店(現レストハウス)など多くの店が並ぶモダンな街並みが見えてくる。電気店に近づくと当時店先で流れていた流行歌「上海だより」が徐々に聞こえるなど、効果音も入れて臨場感を高めた。

 かすかに色あせた看板など建物には生活感が感じられるが、人の姿はない。顧問の長谷川勝志教諭(54)は「その違和感こそが狙い。あくまで“失われた街”であり異世界なのだと意識してほしい」と力を込める。

 副部長の3年柿原惟人さん(17)は「被爆前の街並みと現在の景色を同時に比較できるので調査や観光客への説明もスムーズになる」と期待する。

 同部では2016年に広島市街のVR制作を始め、今夏完成の予定だったが、新型コロナのため学校が休校となり、完成は来年に延期、VR体験イベントも中止となった。部長の3年平川聖央さん(18)は「悔しさもあるが、先輩方が積み上げてきたものを節目の年に伝えられる意義は大きい」と意気込んでいる。

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