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ジョージ・ミラー監督『マッドマックス』から45年「こんなに続くとは思っていなかった」カンヌで語る

映画『マッドマックス:フュリオサ』(左から)クリス・ヘムズワース、ジョージ・ミラー監督、アニャ・テイラー=ジョイ「第77回カンヌ国際映画祭」フォトコール (C)Kazuko Wakayama
映画『マッドマックス:フュリオサ』(左から)クリス・ヘムズワース、ジョージ・ミラー監督、アニャ・テイラー=ジョイ「第77回カンヌ国際映画祭」フォトコール (C)Kazuko Wakayama
 「第77回カンヌ国際映画祭」でワールドプレミアされたジョージ・ミラー監督の『マッドマックス:フュリオサ』。上映後、約7分間のスタンディングオベーションで沸いた夜が明けたフランス現地時間16日、同映画の公式会見が行われた。

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 会見には、若きフュリオサを演じたアニャ・テイラー=ジョイ、宿敵ディメンタス役のクリス・ヘムズワース、フュリオサのメンターとなる警護隊長ジャックを演じたトム・バーク、プロデューサーのダグ・ミッチェル、ミラー監督が出席した。

 前夜のワールドプレミア上映について、アニャは「観客と一緒に観るのは本当に素晴らしい経験だった。私たちはカメラの後ろのトリックを知りすぎているけれど、映画のペースや、サウンドデザインや、すべての要素が素晴らしいと思えた。それはまたジョージ(監督)の素晴らしさでもある。スタッフの中にはすでに引退していたけれどジョージのために戻ってきた人もいた。本当に誇りに思えた」と語った。

 クリスは「自分にとっては初めてのカンヌで、素晴らしい体験ができた。オーストラリア人としてマッドマックスシリーズは特別だ。自分の子ども時代を思い出すようなノスタルジーがあった。ここに連れてきてくれてありがとうとジョージに言いたい」と喜びを隠せない。トムは「昨夜の経験は本当に素晴らしかった。震えた。電気が走ったね」と興奮冷めやらぬ様子だった。

 プロデューサーのダグは「何年もジョージと本作のためにやってきたけれど、誇りに思う。ジョージとは43年前から一緒に仕事しているが、300人のクルーがいたけれど、ジョージがもっとも仕事をしていて、みんなジョージを慕っていた。本作は規模も大きく、とてもハードで、8ヶ月、みんな働きっぱなし。本当にマッシブな映画。ワーナーはリスクをおかしてくれた。だからみんなにありがとうと言いたい」と舞台裏を明かすとともにスタッフへの感謝を述べた。

 シリーズ1作目となる『マッドマックス』(1979年)から長年人気を保てた理由を問われたミラー監督は、「わからないけど、運が良かったことはたしかだ。ストーリーのアレゴリーの面もあったかも。フランスでは1作目の『マッドマックス』について、車輪のついた西部劇と評された。日本では侍だと言われた。黒澤明の映画のように、彼らの伝統にフィットしたんだろう。素晴らしいよ」と明かした。

 本作ですさまじいカーアクションやバイクアクションを披露しているアニャは、アクションシーンの撮影について、「スタント・チームは素晴らしかった。できるだけ自分でやるようにしたけれど、いつもサポートしてくれて。その一方で、決してこれをやらなければならない、といった圧力は感じなかった。みんな私を信じてくれて、励ましてくれて、本当にすばらしいチームだった」と明かした。

 「マイティ・ソー」シリーズのソー役としても知られるクリスが悪役を演じることでも注目を浴びる本作だが、クリスは自身が演じたディメンタス将軍について、「このキャラクターの興味深い点は多くの面があること。雄々しい一方で、ジョージとも話して、大事なのはヒューマニティでもある、彼のもろい面も必要だと。彼は過去に非常に苦しんでいて、それが弁解になるわけじゃないけれど、生き残るためにああなった。それを理解するのは大事だった。彼はとても大きなエゴに満ちた人間。ほかの『マッドマックス』の脚本とも異なり、彼の人間性が伝わることを願った。暴力的でもね。予想不可能なキャラだけど。作り上げる上で多くの自由があって、創造性があって、とても素晴らしい経験だった。ジョージに感謝しているよ」と振り返り、ミラー監督への感謝を述べた。

 時代ともに変化するアクション映画のイメージについて、ミラー監督は「映画の言語は100年以上になるけれど、最初からすべてアクションムービーとも言える。映画とはアクション。自分にとってだからピュアな映画というのはヴィジュアル的なものだ。映画ではなんでもできる。映画しか経験できないことがある」と、持論を述べた。

 自身の映画づくりについては「自分にとって大事なことは2つ。1つ目はいつも同じことを繰り返していたら、自分自身興味はなくなる。2つ目は、自分自身『マッドマックス』がこんなに続くとは思っていなかった。自分自身クレイジーと思っている。でも気づいたのは、自分は常にに学びたいと思っているし、ストーリーを語る最良の方法を見つけたいと思っている。それが原動力になっている。毎回異なるストーリーで、それがこのサーガを特別なものにしていると思っている」と、『マッドマックス』への想いを語った。

 また衣装・ロケーションについて、監督は「ストーリーを語る上で役立つものにならなければならない。コスチュームはゆえにキャラクターの延長のようなもの。スタイルや審美性、すべてに強いコネクションがある。もちろん、メークもロケーションも同様。そこにロジックがあるようにみんなで話し合った」と明かした。

 アニャも同じ考えを持っているようで、「アクションシーンもすべてキャラクターの延長にある。彼らが何を望んでいるのか、何によって動かされるのかとか。そういう面がストーリーに深みを与えると思う。すべてが一緒になって層をもたらすの」と話していた。

 ミラー監督は「自分が好奇心を忘れないことが大事。同じストーリーを何度も語ることに自分自身興味がない。自分は映画界でずっと働けてラッキーだから、それが続けられるように面白いことをやっていきたい」と、意欲的な姿勢を見せた。そのコメントに対し、ダグプロデューサーは「偉大な映画は、観客の見方に影響を与える。モバイルの時代でも、ジョージの場合は、ロックンロールな価値がある。音響面でも特別だ。本作は、大きな映画館で観る特別な映画だ」と語り、そしてアニャもまた「インテレクチュアルで哲学的なロックンロール・オペラよね」と言葉を重ね、本作への自信を覗かせた。

■ワールドプレミア上映の現地評

「『怒りのデス・ロード』につながる物語は感情的で機知に富み、意図的な野蛮さに満ちている」(INDEPENDENT)

「これまでに作られた最高の前日譚の1つであり、大胆な傑作(DiscussingFilm)

「一流の世界構築、感情的に共鳴する監督の目、焼けつくようなパフォーマンス、シャープな映画撮影、そして地獄のようなスコアを織り交ぜた本作は、信じられないほどのアクションシーンと、人生と愛について注目に値するヒーローの旅」(IGN)

「『怒りのデス・ロード』に続きまたしても驚くべきスタントと視覚効果の水準が維持されている。見ているものが何なのか、どうしてそんなことが可能なのか、目が理解しきれないことも多いだろう。」(Empire Magazine)

「特にテイラー=ジョイは驚異的だ。」(Empire Magazine)

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【画像】映画『マッドマックス:フュリオサ』場面写真

(2024年05月18日 18時53分 更新)

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