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サイクルトレイン

 「列車に自転車ごと乗れたら、迎えに行かずに済むのに」。JR津山線沿線に住む同僚のつぶやきを聞いた。自転車通学の中学生らが学校後に塾に寄り、夜道が危険なので親が車で迎えに行き自転車を積んで帰っているという▼その願いがかなっている事例に出合った。群馬県の前橋市と桐生市を結ぶ上毛電鉄だ。高校生らが自転車を押して次々乗り込み席に座る。降車時も押して外に出て、ホームからスロープなどで降りる▼自転車ごと乗れる「サイクルトレイン」である。かつて訪れたフィンランドやデンマークでは乗客の多い首都の鉄道や地下鉄でも本格的に行われ、多くの人が利用していた。自転車を固定する装置の付いたスペースや専用車両もあった▼日本では私鉄だけかと思えばJR西日本などでも行われている。和歌山県のきのくに線。レンタサイクルで和歌山駅から乗ってみた。自転車を押して改札を通りエレベーターを使いホームへ。そのままドアから乗り降車もスムーズだ▼岡山県内では井原鉄道は事前申し込みなどすれば乗れ、2004年にはJR吉備線の開業100周年記念で行った経緯もある▼5月は自転車月間。列車と組み合わせれば駅から離れた場所にも行きやすく移動範囲がぐっと広がる。身近な路線でも導入が進み、日常生活や観光が便利になる姿を思い描いた。

(2024年05月18日 08時00分 更新)

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