マリリン・モンローが映画の中で「ダイヤモンドは女の親友」と歌ったころ、その価値は永遠と盛んに宣伝されていた。いずれ色あせる愛より頼りになる。確かそんな歌詞だった▼こちらは男性だが、ロシアのプーチン大統領もダイヤを友と信じる一人かもしれない。世界最大の産地で、原油や天然ガスに次ぐ重要な収入源としている▼２０２２年の原石の輸出額は約３９億ドル相当。この年始めたウクライナ侵攻の戦費調達を下支えしているとみられることから、米国はいち早く直接輸入を禁じ、欧州各国や日本も追った▼ただ、ロシアの懐はさほど痛んでいないのだろう。ダイヤは宝飾品となって店頭に並ぶまでに幾つもの工程を経る。現在もロシアで採掘された原石の多くが制裁不参加のインドで研磨され、インド産として米国などに輸出されているという▼日本ではきょうから、こうした第三国で加工されたロシア産ダイヤの間接輸入も禁止される。通算５期目に入ったプーチン政権にどれほど打撃を与えられるかは未知数でも、軍資金にさせないよう抜け道をふさぎ続けるしかない▼もっとも、若い世代の間では炭素から人工的に作る合成ダイヤの人気が急拡大しているようだ。天然石より環境に優しく安いと婚約指輪に選ぶカップルも増えた。この新しい価値観、ロシアの思わぬ敵となるか。