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クレカ被害の急増 情報盗む手口に要注意だ

 インターネット上での商品やサービスの購入が拡大していることなどを背景に、クレジットカードの不正利用による被害額が急増している。カード情報などを盗み取る「フィッシング」と呼ばれる手口が多く使われており、官民が連携し、被害防止に効果的な対策を早急に打ち出す必要がある。

 日本クレジット協会によると、2023年の被害額は前年比23・9%増の540億9千万円で、過去最大に上っている。14年の被害額113億9千万円から5倍近くまで増えている=グラフ

 被害が急増する中、経済産業省は先月、不正利用への対策を協議するため、カード会社や国民生活センター、大学研究者らで構成する有識者会議を設置し議論を始めた。初会合では、被害状況が報告されたほか、カード会社から「不正は巧妙化しており、今後も増加が見込まれる」との指摘が出された。

 カードの不正利用を防ぐ本人確認には、利用者のスマートフォンに届き一定時間しか使えない「ワンタイムパスワード」などが有効とされる。経産省は、こうした手法の確認システムを25年3月末までに導入するようカード会社や加盟店に求めている。

 有識者会議では今後、不正防止対策の強化に向け、実態や課題を共有し、取り組みを進める。カード利用者に対する防止策の周知など働きかけを強め、安全性の向上に努めてもらいたい。

 消費者側も警戒を怠らず、セキュリティー意識を高める必要がある。横行しているフィッシングは、実在する企業や組織名をかたった偽のメールやショートメッセージサービス(SMS)を利用者のスマホやパソコンに送って、本物とそっくりな偽のサイトに誘い込み、氏名やカード番号、パスワードなどを入力させて盗み取るものだ。

 カード会社やネット関連企業などでつくるフィッシング対策協議会によると、消費者などから寄せられた昨年のフィッシングの報告件数は、前年比23・5%増の約119万6千件に上った。被害例では「カード年会費のお支払い方法に問題があります」や「【重要】不正利用防止のため、会員情報の更新をお願いします」といった、もっともらしい文面のメールやSMSが届くケースが多い。

 利用者の側は、通知が届いても、記載されているアドレスからそのままアクセスすることは絶対に避けたい。公式サイトに掲載されている電話番号を使って連絡するなど、冷静に対処することが欠かせない。

(2024年05月07日 08時00分 更新)

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