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「オッペンハイマー」(2023年、米国) 「プロメテウス」の栄光と挫折

 シネじい ついにその時が来たようだ。今回はダジャレ封印で臨まなければならぬ。

 黒じい 映画「オッペンハイマー」のことだな。第2次世界大戦中の米国で、原爆開発「マンハッタン計画」の中心人物にしてロスアラモス研究所長だった米国物理学者ロバート・オッペンハイマー(1904~67年)を描いた問題作。クリストファー・ノーラン監督の最新作でもある。

 シネじい 1945年に広島、長崎に落とされた原爆のことを考えると、この連載でボケるのは、さすがの私もためらわれ、「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション」へつい一時避難したりして(笑)。

 黒じい 先週も「アイアンクロー」でロープ、ロープ、か(笑)。その気持ちは分かるが、「オッペンハイマー」上映終了の気配も漂い出した今、「名探偵コナン 100万ドルの五稜星」というわけにもいかんのだろ?(笑)

 シネじい それは困難だ。コナンだけに(笑)。

 黒じい 言った先からダジャレとは!

 シネじい 封印は解いた。I break it!

 黒じい わあああ。

 シネじい 原作は2006年にピュリツァー賞を受賞したカイ・バード、マーティン・J・シャーウィン著「オッペンハイマー」。その原題が「アメリカン・プロメテウス」とは、うまいね。プロメテウスは、ギリシャ神話に出てくる神。神の国から火を盗み人間に利用法を教えたが、ゼウスの怒りを買い、罰として岩に鎖でしばられ、ワシに肝臓をついばまれ続ける責め苦を負ったという。

 黒じい 映画「オッペンハイマー」では、オッペンハイマーが原爆製造に成功し「原爆の父」「英雄」とたたえられながら、原爆が広島に投下され多くの人々が亡くなった被爆の実態をラジオで聞いて苦悩、水爆開発に反対の立場をとる。そして米国で赤狩り旋風が吹き荒れる中、過去の共産主義との関係などを厳しく問われて英雄の地位から落ちていく姿をプロメテウスに重ねているね。...
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(2024年04月23日 12時49分 更新)

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