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トウモロコシの国産化

 豆は穀物か野菜か。その答えは収穫時期や品種によって異なる。大豆は成熟後に収穫して乾燥させれば穀物、若い時期に食べる枝豆は野菜に分類される。サヤインゲンやサヤエンドウも野菜である▼トウモロコシも同様だ。スーパーに並ぶスイートコーンは熟す前に収穫されたもので、野菜の扱いとなる。一方、家畜の飼料になるトウモロコシの多くは、完熟してから刈り取る別の品種で穀物だ。「子実用」と呼ばれる▼日本はこうしたトウモロコシのほとんどを輸入しているが、最近は国産化が注目されている。ウクライナ危機などの影響で価格が高騰し、過度な輸入依存は問題だと考えられるようになったからだ▼岡山県内では2022年度から、JA全農おかやまが子実用トウモロコシの実証栽培に取り組んでいる。その結果、ある程度の規模で生産すれば、水田からの転作補助金を加えて採算が見込めることが分かった▼収穫などに専用の機械が必要なものの、稲作に比べて手間がかからないメリットもある。今後は大規模農家などに作付けを呼びかけていくという▼牛や鶏の飼育が盛んな岡山県は飼料需要が多く、地の利は十分にある。国は農業関連の基本法を改正し、食料安全保障を農政の柱に位置付けようとしている。子実用トウモロコシの産地化を目指すなら、今こそ天の時だろう。

(2024年02月21日 08時00分 更新)

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