山陽新聞デジタル|さんデジ

日本三大奇祭

 岡山市の西大寺会陽は「日本三大奇祭の一つ」とされる。さて、あと二つはどこの祭りだろうか▼三大奇祭を自称する祭りは全国に100近くあるらしい。有名どころを二つ挙げ、残りの一つに地元の祭りを入れるという例が各地で見られるためである(杉岡幸徳著「奇祭」)▼諸説ある中で会陽と並んでよく知られているのが、岩手県奥州市・黒石寺の蘇民祭だ。下帯姿の男たちが護符の入った麻袋を奪い合う。2008年には胸毛にひげ面の男性を大写しにした告知ポスターが、不快感を与えるとして駅などでの掲示を拒否され、話題になった▼千年以上の歴史がある伝統行事だが、今晩行われる蘇民祭が最後となる。住民の高齢化で担い手が不足し、維持していくのが難しくなったという▼祭りは人と人のつながりを強め、次の世代を育て、地域に活力をもたらす。何とか残したいとの声もあったそうだ。インターネット番組で寺の住職は「蘇民祭の原点は信仰であり、裸になるのが全てではない」とし、今後は信仰を守ると話していた。苦渋の決断だっただろう▼きょう、西大寺観音院では会陽が行われる。新型コロナウイルス禍で見送られていた宝木(しんぎ)の争奪戦が4年ぶりに復活し、こちらでも勇壮な裸絵巻が繰り広げられる。伝統の祭りが末永く続くことを願いつつ、今年の福を祈りたい。

(2024年02月17日 08時00分 更新)

あなたにおすすめ

ページトップへ