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地方創生10年

 「地方創生に失敗すると日本が消滅する」。2015年に岡山初開催となった全国知事会議で担当相が言い切った言葉である▼若い女性が減り、約900の自治体は消滅の可能性があると民間団体が前年に衝撃的な試算を公表した。対応は会議の焦点となり「魅力ある地方の集合体として日本を形づくる」とする宣言を採択した。“岡山発”の宣言に地方の期待が高まった▼政府が地方創生を掲げて10年になる。最重要政策のはずが、人口減少と東京一極集中の加速が目につく。先日も働き手となる15~64歳の50年時点の人口を20年と比べると、699市町村が半数未満に減る推計が報じられた▼地方の小規模自治体が目立つ。岡山県内は8市町が半数未満になり、最も減る備前市は1万6千人余りが7千人を割り込む。県全体で約30万人も少なくなる。増えるのは東京などの一部だけだ▼影響は計り知れない。民間団体座長の増田寛也さんが消滅可能性都市の公表後に手がけた著書で、対談した識者は「行政には納税者が減る、企業には顧客がいなくなる(略)と話しても事態の深刻さが分かっていない」と嘆く。その結果が今回の推計に表れているのか▼改めて懸念が募るのは、働き手が大幅に減る自治体が消滅可能性都市とほぼ一致することだ。試算通りなら、担当相の言葉に近づいてしまう。

(2024年02月15日 08時00分 更新)

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