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ベネッセ 株式非公開化へMBO 意思決定の迅速化で事業立て直し

ベネッセホールディングス本社
ベネッセホールディングス本社
 教育大手・ベネッセホールディングス(HD、岡山市北区南方)は10日、経営陣が自社の株式を買い取るMBO(マネジメント・バイアウト)を行い、上場を廃止する方針を発表した。全株を取得した場合の買収金額は最大約2080億円。株式非公開化により機動的な意思決定を可能にし、事業拡大を目指す。

 福武英明取締役ら創業家とスウェーデンの投資ファンドEQTが共同で、同HD株の全株取得を目指す。9日の株価終値に45・1%のプレミアムを上乗せした1株2600円で、来年2月上旬をめどに公開買い付けを開始する予定。

 EQTは世界各国で投資事業を展開。ベネッセは「進研ゼミ」「こどもちゃれんじ」といった主力の通信教育事業が少子化などの影響で伸び悩んでおり、EQTのネットワークとノウハウを同HDに取り入れることで、新たな教育サービスの提供やグローバル化につなげる。

 買い付け予定数の下限は4781万8900株に設定。成立すれば、すでに創業家などが保有する株式と合わせて議決権の3分の2を超え、東京証券取引所のプライム市場での上場を廃止する。

 非公開化は、資金調達の手段が制限されるなどのデメリットの一方、少数株主の意向に左右されず、経営陣が会社運営をしやすくなったり、意思決定を迅速化できたりするメリットがある。

 同HDは5月、事業領域の拡大などを通じて持続的な成長を図る「変革事業計画」を発表。通信教育や介護など既存事業の立て直しをはじめ、社会人向けのリスキリング(学び直し)といった新事業にも力を入れる方針を打ち出している。

 小林仁社長は「計画の達成に向けてスピードと質を上げていきたい」と話した。

 同HDは1955年に福武書店として創業。資本金138億5700万円、グループ従業員約1万6千人。

(2023年11月10日 21時25分 更新)

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