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性的指向を暴露され労災認定 初事例か、パワハラに該当

 アウティングによる精神疾患発症で労災認定され、記者会見に臨む男性=24日午後、厚労省
 アウティングによる精神疾患発症で労災認定され、記者会見に臨む男性=24日午後、厚労省
 東京都豊島区の保険代理店に勤務していた20代男性が、上司による性的指向の暴露(アウティング)が原因で精神疾患を発症したとして、池袋労働基準監督署から昨年3月に労災認定されていたことが24日、分かった。男性を支援するNPO法人「POSSE」が都内で記者会見し、明らかにした。「アウティングが労災認定されたのは初めてではないか」としている。

 法人によると、男性は2019年に入社し、面接の際、同性のパートナーを緊急連絡先として伝えた。説明を求められたため、自身が同性愛者だと明かし「同僚には自分のタイミングで知らせたい」とした。だが直後、40代の上司が無断で女性従業員に暴露。男性は女性従業員から無視されるようになり、精神疾患で退職した。

 労基署は、上司のアウティングがパワハラに該当し、強い心理的負荷を与えたと判断した。

 24日の記者会見に出席した男性は「人間不信に陥り自殺も考えた」と話した。今回の認定によりアウティングが人権侵害に該当し、補償対象となり得ることを示せたと評価している。

(2023年07月24日 22時36分 更新)

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