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核廃絶専門委、長崎の被爆者落選 禁止条約に否定的な政府支援なく

 ウィーンで開かれた核兵器禁止条約第1回締約国会議。画面は演説する朝長万左男氏=2022年6月(共同)
 ウィーンで開かれた核兵器禁止条約第1回締約国会議。画面は演説する朝長万左男氏=2022年6月(共同)
 【ニューヨーク共同】核兵器禁止条約の諮問機関「科学諮問グループ」の専門家委員に推薦された長崎の被爆者が落選していたことが23日、国連関係者への取材で分かった。核廃棄や被害者支援など「核なき世界」実現の方策を締約国に助言する「要」の機関。核実験の影響に苦しむカザフスタンが推したが、条約に否定的で非加盟の日本政府の支援は得られず、外交筋は落選への影響を指摘した。

 初めて核兵器を違法とした同条約の制定には広島、長崎の被爆者らが大きな役割を果たしただけに落胆の声が出ている。

 委員は15人。カザフが推していた長崎の被爆者で医師の朝長万左男氏(80)が落選し、補充候補6人のリストに入った。科学諮問グループ設置が決まった昨年6月の核禁止条約第1回締約国会議でも演説。被爆者医療の専門的知見も豊富だが、これまでの同グループの会合資料や議事録は補充候補には共有されていない。

 朝長氏は共同通信に「広島や長崎の経験を、カザフなど各地の核実験被害者の支援に役立てたかったので、残念だ」と述べた。

(2023年07月23日 21時46分 更新)

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