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ゾウと人、あつれき深刻化 インド、年間犠牲5百人と百頭

 インド北東部アッサム州の茶畑に侵入したゾウ=2022年8月(ゲッティ=共同)
 インド北東部アッサム州の茶畑に侵入したゾウ=2022年8月(ゲッティ=共同)
 絶滅危惧種のアジアゾウと人とのあつれきがインドで深刻化し、年間の犠牲者が約500人に及び、ゾウも約100頭が死んでいることが同国政府の集計で20日までに分かった。開発による生息地の消失や分断が背景にある。被害の増加でゾウの保護活動に反感が強まっている。

 国際自然保護連合(IUCN)のアジアゾウ専門家グループのメンバーで、環境団体トラ・ゾウ保護基金(東京)の坂元雅行事務局長は「インドは人口が増えており、ゾウとの衝突は拡大するだろう」と指摘。双方の被害拡大を避けるため、残った生息地を開発から守り保護地域を広げることが重要だと訴える。

 トラ・ゾウ保護基金によると、アジアゾウの最大生息地インドでは1950年代以降、農地開発や森林伐採が加速し、分布域はかつての4%に縮小。個体数は推定3万頭に減少した。道路や鉄道建設による生息地の分断も影響し、農地や居住地への出没が後を絶たない。住民に殺されたり事故で死んだりするほかゾウが人を襲うこともある。実効性のある対策に乗り出せていないという。

(2023年07月20日 17時48分 更新)

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