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本を手にする喜び、おすそわけ 玉野の書店 来店者を寄付で結ぶ

千田さん夫婦(右側)が開いた「ちいさな本やマルコ」。おすそわけん(右下)を通して本好きの輪が広がっている
千田さん夫婦(右側)が開いた「ちいさな本やマルコ」。おすそわけん(右下)を通して本好きの輪が広がっている
 本を手にする喜び、おすそわけ―。玉野市田井に6月オープンした「ちいさな本やマルコ」には、来店者を結ぶ小さなコーナーが設けられている。

 「絵本が好きな人へ」「田井小学校の生徒さん」「おばあちゃんと来た人に」

 張り出された「おすそわけん(券)」には贈り先と寄付額が書かれ、訪れた客が該当すれば本を購入する際に割引に使ってもよい仕組みだ。

 「特に子どもが気に入った本を買う後押しになればと思って」。店主の千田真美さん(48)と夫の潤さん(47)は昨年2月に東京から移住。自宅の離れを使い、個人書店を開く念願をかなえた。おすそわけんは、貧困問題に取り組むNPOが営むカフェのサービスを参考にしたという。

 地区の回覧板やSNS(交流サイト)で紹介すると、賛同したお年寄りや同世代の客が次々訪れ、自分の本を購入するついでに券を書き“おすそわけ”してくれた。地元の保育園児も来店し、絵本などを買うのに券を利用しているという。

 「食べることが好きな人に」という300円券を使い料理本を買った男性(67)=同市=は、自身もお返しに同額を寄付した。「店を訪れた人の間で親切の輪がつながっていくのがうれしい」。利用者が希望すれば、寄付した人へのメッセージを券の裏に書き、店を通じて渡すこともできる。

 店内は千田さん夫婦が選んだ絵本や小説、図鑑、写真集など900冊ほどが並び、客が憩えるスペースもある。「本で人と人をつなぎ、誰でもリラックスできるような場所にしたい」と真美さんは話す。

 営業日は木、金曜午後1時~6時、土曜午後1時~5時。

(2023年07月18日 09時36分 更新)

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