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西日本豪雨5年 寄り添う支援重要 県内の仮設住宅解消 治水も完了へ

西日本豪雨の発生から5年を迎えた倉敷市真備町地区。小田川堤防沿いでは「まびふれあい公園」の整備が進んでいる=6月27日、同市真備町箭田(小型無人機で撮影)
西日本豪雨の発生から5年を迎えた倉敷市真備町地区。小田川堤防沿いでは「まびふれあい公園」の整備が進んでいる=6月27日、同市真備町箭田(小型無人機で撮影)
 岡山県内に戦後最大級の水害をもたらした2018年7月の西日本豪雨は6日、発生から5年を迎えた。最大9千人に上った県内の仮設住宅への入居は全て解消し、堤防が決壊した小田川の治水対策も23年度中に完了する見通し。ただ、被災地には今も精神的、経済的に苦悩を抱える人がおり、災害公営住宅に移った独居高齢者の見守りも欠かせない。復興へ向けた被災者支援は多様化しており、きめ細かな継続的サポートの重要性が増している。

 県によると、仮設住宅は被災後間もなく提供が始まり、約4カ月後には入居者数がピークの3415世帯9074人となった。生活の再建とともに減少し、倉敷、総社両市の計8カ所に整備された仮設住宅は昨年9月までに全世帯が退去。民間賃貸住宅を借り上げるみなし仮設住宅も、今月5日までに全世帯が新たな住まいを確保した。

 甚大な被害を受けた倉敷市真備町地区では、小田川と高梁川の合流点付け替え事業や小田川3支流の改良復旧工事が23年度中に終わる予定。新たな交流拠点として同市が小田川の堤防沿いに整備する「まびふれあい公園」は来春に完成する計画で、防災学習などの場として活用していく。

 ハード整備が順調に進む一方、住民の暮らしには課題が浮かび上がる。大切な人を亡くした遺族の悲しみは今も癒えず、押し寄せた濁流の光景がトラウマ(心的外傷)になっている被災者もいる。自宅の再建に伴う経済的負担が増し、生活に苦慮する人も少なくない。

 真備町地区3カ所に設けられた災害公営住宅には多くの高齢者が1人で暮らし、孤立や孤独死を防ぐ取り組みも進められている。全ての被災者が取り残されないよう丁寧に寄り添う支援が一層求められる。

 県内では、豪雨の直接的な原因で61人が死亡し、高梁、新見市、鏡野町の3人が行方不明のまま。34人が被災後のストレスや疲労による災害関連死と認定されている。

(2023年07月06日 00時01分 更新)

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