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倉敷芸科大 研究“見える化”着々 特色あるキャンパスへ学生活動

香りをテーマにした庭造りに取り組む生命科学部の学生ら=昨年10月
香りをテーマにした庭造りに取り組む生命科学部の学生ら=昨年10月
 倉敷芸術科学大(倉敷市連島町西之浦)は、大学で行われる芸術や自然科学の研究を“見える化”するプロジェクトを進めている。これまでに「香り」をテーマにした花の植栽などを実施。特色あふれるキャンパスをつくるとともに、学生自ら活動に参画し、体験することで主体的な学びにつなげる。

 生命科学部生が学ぶ「5号館」。建物前で今春、庭に植えられたバラがピンクの花を咲かせていた。

 庭は抗酸化作用など香りの機能性を研究する岡憲明教授(61)=農芸化学=らが複数種のバラやかんきつ類を選び、昨年10月に設けた。香料として一般的なものとほとんど利用のない種を織り交ぜ、開花時期に幅が出るようにも工夫。整備はゼミの学生が協力しており、研究を実験室の外に広げ、新たな発想を得る狙いがある。

 参加した学生は「実験で植物を使うが、実際に作業をしたことで考えが深まりそう」と手応えを語る。

 同大は生命科学、芸術など3学部と大学院で計約1400人が学ぶ。プロジェクトは、知性と感性、表現力を兼ね備えた人材育成を目指す大学の教育プログラムの一環で2022年度に始めた。

 学部の特色を生かし、自然環境▽XR(クロスリアリティ)▽地域活性化―などさまざまなテーマを設定。花の庭のほか、虫が好むビオラやキャベツを植えチョウを呼び寄せ、自然な状態で生態を観察する「バタフライガーデン」整備と、高梁川流域にのみ自生する野生種・シラガブドウとマスカットの交配を行ってきた。

 今後は、高梁川の動植物を集めたビオトープ整備や、画題として有名なカキツバタやスイレンを植え日本画と西洋画の世界観が感じられる空間づくりに取り組む計画。先行プロジェクトを含め実施場所へのバナー掲示を検討するなど、発信にも努める。

 担当の白砂伸夫学長補佐(70)=環境共生学=は「教員も学生も面白がってキャンパスをつくり上げたい。学部間の交流も促し、新しい価値を創造できたら」と話している。

(2023年06月07日 18時11分 更新)

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