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日本伝統工芸中国展 優品にため息 岡山会場開幕 意欲作119点並ぶ

伝統の技と現代の美意識が融合した作品に見入る入場者ら
伝統の技と現代の美意識が融合した作品に見入る入場者ら
テープカットで開幕を祝う関係者ら
テープカットで開幕を祝う関係者ら
 中国地方の実力作家が競演する「第66回日本伝統工芸中国展」(日本工芸会、同会中国支部、山陽新聞社主催)の岡山会場が24日、岡山市北区表町、天満屋岡山店6階葦川(いせん)会館で開幕した。伝統の技や素材に現代の美意識を融合した意欲作計119点が訪れた人々を魅了している。29日まで。

 岡山、広島、鳥取、島根の4県の作家が技や創造力を競う恒例の公募展。会場には陶芸、染織、漆芸など多彩な工芸品がそろい、入賞・入選作のほか重要無形文化財保持者(人間国宝)らの優品も楽しめる。

 注目を集めるのは、満天の星が輝く夜空を想起させる橋詰峯子さん(鳥取市)の特別賞・金重陶陽賞受賞作「有線七宝蓋(ふた)物『星月夜』」。朱と黒漆で暮れなずむ空を表した高山尚也さん(広島市)の「乾漆鉢『暮色』」=日本工芸会中国支部長賞=や、豆のようなフォルムで生命感を放つ近藤正彦さん(瀬戸内市)の「備前扁壷(へんこ)」=NHK広島放送局長賞=も独創的な意匠でファンのため息を誘う。

 今回から大部分の作品にQRコードが添えられ、入場者はスマートフォンで読み取り、作家の情報を確認しながらじっくりと鑑賞。高知市から訪れた団体職員男性(46)は「細やかだったり、大胆だったり、一点一点から作り手の思いや人柄が伝わってきて面白い。ずっと見ていられます」と話した。

 開幕前に開会式があり、同支部長の松田正己山陽新聞社社長、国重良樹岡山県教育次長らが「時代の風を吹き込み、新たな技術や作品を生み出してきた伝統工芸の素晴らしさを多くの人に味わってもらいたい」などとあいさつ。林恭生岡山市副市長、黒住宗晴同支部顧問らを加えた6人でテープカットをした。

 入場無料。29日までの会期中は毎日午前11時と午後2時に出品作家らが列品解説するほか、支部会員が手がけた食器やアクセサリーなどを展示即売する「くらしの中の伝統工芸展」も併催している。

(2023年05月24日 12時27分 更新)

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