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退職金を請求できる場合・できない場合

 勤務先を退職することになったとき、気になるのは退職金かもしれません。先に退職した人はもらっているみたいだけど、自分はもらえるのか…。今回は退職金を請求できる場合と請求できない場合について取り上げます。

退職金の支給基準に該当する場合は
支払いを請求する権利が発生する


 退職金を請求する上で一番大切なのは、支給基準が会社に存在しているかどうかです。労働契約、労働協約、退職金規程(または就業規則)などで退職金の支給基準が明確になっていて、その支給基準に該当している場合は、退職金を請求する権利が具体的に発生していると考えられます。この場合、会社に対して基準に基づく退職金の支払いを請求できますし、支払われない場合は訴訟などで解決することも可能です。

 明確な支給基準がなくても、従前の慣行として一定の基準に基づく退職金の支払いがなされていれば、同じように請求できます。しかし、支払われるかどうか、あるいはいくら支払われるかがその都度決められている、ということになると、これは一定の基準があるとは言えません。そのような退職金は具体的な権利ではなく、会社に支払いを請求することは困難です。

懲戒解雇であっても
退職金の一部を請求できる場合も


 権利がある場合でも、退職金規程などに「当該労働者を懲戒解雇した場合は退職金を支給しない」といった規定があって、かつこれに該当する事実があるときは、やはり退職金は請求できません。ただし、懲戒解雇の場合であっても、「労働者のそれまでの勤続の功を抹消してしまうほどの著しく信義に反する行為がなければ、全額不支給とすることはできない」として、退職金の3割の支給を命じた裁判例もあります(東京高裁判決平成15年12月11日)。ですから懲戒解雇でも、退職金の一部を請求できる場合もあります。

 退職金請求権の時効は5年です。もし過去の、あるいは近い将来の退職のことで疑問点などあれば、ぜひお近くの弁護士に相談してみることをお勧めします。

先生紹介

  • 安達祐一 先生

    安達法律事務所

    倉敷市鶴形1-4-15 シャトーブリアン2F

    TEL.086-423-5311 http://www.adachilaw.jp/

    2004年東京大学法学部卒業。同年司法試験合格。司法修習を経て06年弁護士登録。10年、生まれ育った倉敷市内で開業。

    「地元住民の方に密着したサービスを心がけています。倉敷センター街の先にある事務所で、ご相談をお待ちしています」

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