山陽新聞デジタル|さんデジ

負けから学ぶ

 将棋界の頂上決戦・名人戦7番勝負が、今年もホテル椿山荘東京で4月10日に幕を開ける。全八冠を保持する藤井聡太名人に挑むのは、元名人の豊島将之九段。好カードにファンの期待も高まる▼豊島九段と最後まで挑戦権を争ったのが、岡山市在住の菅井竜也八段だ。トップ棋士10人が集う順位戦A級リーグを、得意戦法の振り飛車で盛り上げた▼体力、気力に経験が加わる指し盛りの31歳。今時の棋士には珍しく、対局中に闘志を表に出すタイプだ。「プロの将棋は内容を競うものではなく、結果が全て」。常々そう話すように、勝負に対するこだわりも強い▼藤井一強の現代棋界では、誰が牙城を崩すかに関心が集まる。豊島九段をはじめ、先の棋王戦5番勝負に続いて叡王戦5番勝負にも挑む伊藤匠七段、昨秋に八冠目となる王座を奪われた永瀬拓矢九段らの名前が挙がるが、過去、2度のタイトル戦で相まみえた、菅井八段も有力な候補だろう▼中でも年明けの王将戦7番勝負の激闘は、まだ記憶に新しい。最強の王者にも気後れせずに正面からぶつかり、主張を通した戦いぶり。敗れはしたが、今後への可能性を十分に感じさせるものだった▼大事なのは負けから何を学ぶかだ。悔しさを糧に、さらに一回り大きくなり、ひのき舞台へと戻ってきてほしい。郷土のファンは待っている。

(2024年03月24日 08時00分 更新)

あなたにおすすめ

ページトップへ