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【ファジアカ生 参加企画】ホーム最終戦は白星で笑顔に 秋田のカウンターは要注意だ

【ファジアカ生 参加企画】ホーム最終戦は白星で笑顔に 秋田のカウンターは要注意だ
 サッカーJ2ファジアーノ岡山(10位)は5日、岡山市のシティライトスタジアムで秋田(14位)とのホーム最終戦に臨みます。10月は3分け1敗で白星がなかったファジアーノ。ホーム最終戦はみんなを笑顔にする勝利を期待したいところです。クラブ主催の「ファジアーノ岡山 アナリティクスアカデミア」(愛称・ファジアカ)2期生のきしもとさんと枝松弘志郎さんが、試合映像などをもとに秋田の戦術を分析。ファジホーム戦で注目したいポイントを挙げました。


⚽J2残留が決まっている秋田


 「ブラウブリッツ秋田」は秋田の大企業、TDKサッカー部が前身。2017年、J3で優勝するも、J2の基準を満たすスタジアムがなくJ2に昇格できなかった。悔しい思いを耐え忍んできたクラブである。優勝しながら昇格できないというのは、Jリーグ史上初めてだったようだ。 その後スタジアムが改修され、2020年にJ3で優勝し、J2でともに戦うライバルとなった。

 4月29日、初めて秋田を訪れた。快晴の中、目にまぶしい青のユニフォームを着たサポーターが集まり、空にはこいのぼりが泳いでいた。秋田のホーム・ソユースタジアム前では子どもたちのためにイベントも催されていた。

 アウェーでは必ず唐揚げを購入する私だが、秋田の日本酒と米粉を使った唐揚げは格別だった。さらに、すれ違うサポーターからも「わざわざ岡山から来てくれてありがとう!」のお声がけをいただき、すっかり秋田に魅了されてしまった。

 さて、第40節を終えての秋田の戦績は、11勝14分け15敗。3連敗と不調ではあるが、すでにJ2残留は確定している。我らがファジアーノは4月29日のアウェー戦で、1-0で勝ち点3を獲得しており、対戦戦績も3勝1分け1敗と相性はいい。しかし、油断はできない。ホーム最終戦は、1万3千人にプレゼントされるフラッグでスタジアムを真っ赤に染め、みんなで勝利をつかみ取りたい。

⚽カウンターサッカーが主体 


 秋田の特徴は何といってもボール支配率の低さだ。裏を返せば、カウンターサッカーを主体としているチームともいえる。

 ボール支配率が低いことはネガティブな印象を持たれがちだが、カウンター戦術が浸透した現代サッカーでは、ボール支配率はあまり重要視されていない。具体例としては2022年のカタールW杯でのアジアの国の躍進が挙げられる。ボール支配率が圧倒的に低い日本が、強豪国に勝ったり、サウジアラビアがアルゼンチンを破ったりしたように、カウンターは強力な戦術である。

 秋田のフォーメーションはボランチ2枚、サイドハーフ2枚とした4-4-2。FW2枚にボールを収めさせたり、一気に逆サイドに展開ができたりと、カウンターサッカーに適したフォーメーションである。

⚽3バックの栃木戦を映像で検証


左が栃木のフォーメーション、右が秋田のフォーメーション。栃木はファジアーノ岡山と同じ3バックと2ウイングバックのディフェンスのフォーメーションだ。J.LEAGUE.jpを参考に作成
左が栃木のフォーメーション、右が秋田のフォーメーション。栃木はファジアーノ岡山と同じ3バックと2ウイングバックのディフェンスのフォーメーションだ。J.LEAGUE.jpを参考に作成

 では秋田はどのようにサッカーを展開してくるのか。10月1日に行われたJ2第37節「栃木SC-ブラウブリッツ秋田」では、栃木はファジアーノと同じ3バックのチームだったため、この試合の映像を見て検証してみた。ちなみに、この試合は秋田が2-1で勝利している。
「カウンター攻撃からチャンスが生まれた」と見て取れるシーン
「カウンター攻撃からチャンスが生まれた」と見て取れるシーン

 90分の中で「カウンター攻撃からチャンスが生まれた」と見て取れるシーンを拾ってみた。このデータから分かることは、秋田のカウンター攻撃はパスの本数が少ないということだ。映像をより詳しく解析すると、ロングボールとドリブルによる持ち運びを多用していた。そのためパス本数が少ないのだ。

 カウンター攻撃では1回しかシュートしていないが、セットプレーは4回も獲得している。そして、秋田はセットプレーからのゴールが多いところもポイントだ。

 秋田はここまで、33得点中15得点をセットプレーから得点 している(J.LEAGUE.jp速報を参考に分析)。栃木戦でも、62分50秒からのカウンター攻撃でコーナーキック(CK)を獲得し、その流れで得点を決めた。一番得意な得点パターンであるセットプレーや、不用意なファウルでフリーキック(FK)を与えてしまうことは避けたい。

 また、秋田はカウンター攻撃に限らずロングボールを多用してくる。栃木戦では、秋田のディフェンスライン4枚とボランチ2枚がセンターライン付近でボールを持つと、秋田のFW2枚は裏に抜け出す傾向が多かった。FWにボールが通らなくても、MFがセカンドボールを回収し、2次攻撃が始まる。不用意なファウルを与えず、2次攻撃を防ぐためにも、岡山のディフェンスラインの選手は常に秋田のロングボールとカウンター攻撃に注意すべきだろう。

 CKとFKだけでなく、ロングスローも脅威だ。秋田にはロングスローが投げられるスタメン選手がなんと3人もいる。飯尾竜太朗選手(背番号33)、才藤龍治選手(背番号13)、高田椋汰選手(背番号22)だ。3人とも試合に出ない可能性はほぼ0%のため、ファジアーノ戦でもロングスローでゴールを狙うのは確実だろう。ファジは柳育崇選手(背番号5)を中心に、秋田のロングスローもはじき返してほしい。

⚽吉田監督の語録にも注目


 最後に、秋田の監督についても触れたい。2020年から指揮を執る吉田謙監督は、インタビュアー泣かせだなという印象を受けるほど、多くを語らない。しかし、言葉からは実直、まじめ、真摯(しんし)な姿勢がうかがえる。吉田監督の語録は昨年、日めくりカレンダー「まいにち吉田語」として発売され、今シーズンはソユースタジアムで「吉田みくじ」として登場。後援会が主体になったこのおみくじの収益は、新スタジアム整備を推進するための寄付金に充てるそうだ。

 端的に要所を射抜く吉田イズムはチームにも浸透しており、ひたむきにボールを追い、ゴールに向かう戦い方も実に「誠実・献身」「粘り強さ」を感じさせる。 試合内容はもちろんだが、試合前後の吉田監督のインタビューにもぜひ注目してほしい。

 今年2月18日にあったジュビロ磐田との開幕戦から、もう8カ月以上がたった。リーグ戦40試合、天皇杯2試合の計42試合を終え、公式戦43試合目となる秋田戦。ホーム最終戦では、公式戦42試合での成長を表現する2023シーズン集大成の木山ファジのサッカーを、1万人超えのCスタで見たい。みんなそう思っているはずだ。(きしもと、枝松弘志郎)

〇筆者紹介
きしもとさん
きしもとさん

きしもとさん 2022年に知り合いに誘われCスタでファジ観戦。それからすっかりファジアーノ&ファジフーズのとりこに。ファジアーノを好きになってから毎週末が楽しみでたまらない。試合も楽しむが、試合前後の監督インタビューを見ることも大好き。 アウェーでもしっかり現地のスタグル(スタジアムグルメ)を楽しむファジアカ2期生。ファジアカではさまざまな視点から、サッカーの楽しみ方を学べて本当に楽しかったです!

枝松弘志郎さん
枝松弘志郎さん

枝松弘志郎さん ファジアカ2期生。岡山県立岡山朝日高校1年生。昨年、ファジアカの存在を知り受講を希望したが、参加条件が高校生以上であったため断念。今回念願のファジアカに入ることができた。サッカーの分析だけでなく、普段交流があまりない年上の方々とも知り合うことができました。将来の夢はサッカーアナリストになることです!

〇ファジアーノ岡山フットボール本部アドバイザー・ファジアカ講師 久永啓
久永啓さん
久永啓さん

 見方を知ればサッカーはもっと楽しめる!

 サッカーを見る時に何に着目するかは人それぞれです。そこに唯一の正解や優劣はありません。一人ひとりの経験や知識、関心によって視点は変わります。その違いを楽しみ、学び合い、より広く深くサッカーを見る力を養っていくのがファジアカです。

 今回は、リサーチ能力とスタジアム観戦体験を基に分析手法を磨き上げてきたきしもとさんと、幼い頃からのファジアーノ愛と細かい情報を逃さない観察力を併せ持つ枝松さんとのペアです。「実はこんな情報もあるんですよ!」「この戦術をこう使っていると思います!」と、異世代視点の掛け合わせで、膨大な情報量から濃い分析結果を生み出してくれたのではないかと思います。ファジアカ2期を同じグループで学び合ってきたお二人による秋田戦の見どころです。

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