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【ファジアカ生 参加企画】デューク選手ら擁する町田 ファジ勝機はカウンターにあり

【ファジアカ生 参加企画】デューク選手ら擁する町田 ファジ勝機はカウンターにあり

 サッカーJ2ファジアーノ岡山(10位)は5日午後7時、ホーム・シティライトスタジアム(岡山市)で町田を迎え撃ちます。シーズン前に大型補強を行った町田は首位を独走中。昨季までファジでプレーしたミッチェル・デューク選手が在籍していることで注目しているサポーターも多いでしょう。

 クラブ主催の「ファジアーノ岡山 アナリティクスアカデミア」(愛称・ファジアカ)で分析を学んだ1期生の霜山純子さんと野見山翔太さんが、リーグトップの守備力を誇る町田の攻略法や戦術を分析。プレーオフ圏内への浮上を目指すファジの注目ポイントを挙げました。


⚽親会社の強力なバックアップで首位独走中


 今季の町田は、第9節で2位に落ちたのを除けば、第4~28節までずっと首位をキープしています(第26節アウェー秋田戦は悪天候のため延期)。昨年15位で終わった町田にとっては大躍進です。また、7月12日の天皇杯3回戦で、J1首位だった横浜F・マリノスに4―1で勝利したことは記憶に新しいところです。ちなみにファジアーノ岡山とFC町田ゼルビアの前回の対戦(第14節のアウェー)は1―1の引き分けでした。

 東京都町田市に拠点を置く町田は1989年、「FC町田トップ」という名称で活動を始めました。2012年にJリーグ2部(J2)に入るも最下位で、翌年JFL(日本フットボールクラブ)に降格。その後14年にJ3に昇格、16年にJ2へ返り咲きを果たしています。チーム名の「ゼルビア」の由来は、町田市の樹・ケヤキ(英語名Zelkova=ゼルコバ)と 同市の花・サルビア(Salvia)を合わせた造語で、1997年に正式に採用されたそうです。
自動昇格(1、2位)、昇格プレーオフ圏内(3~6位)のデータ(7月29日現在)
自動昇格(1、2位)、昇格プレーオフ圏内(3~6位)のデータ(7月29日現在)

 親会社のIT大手サイバーエージェントから強力なバックアップを受ける町田は今季、選手だけでなく、監督にも積極的な補強を行いました。今季から指揮を執る黒田剛監督は30年近くにわたって高校サッカーに携わり、青森山田高校を強豪校に育て上げた名将です。同じく今季からフットボールダイレクターを務めるのは2019~22年にファジアーノ岡山強化部長だった原靖氏。7月初めには、東京ヴェルディからバスケス・バイロン選手(青森山田高出身)が町田に移籍したことも話題になりました。今年の町田の手法を「まずJ1に上がって、その次に集客や経営を考える発想」と表現したライターもいました(注1)。

 町田には21~22年に岡山に在籍していたミッチェル・デューク選手がいます。昨年のFIFAワールドカップカタール大会のオーストラリア代表戦の放送で、デューク選手の所属クラブとして「Fagiano Okayama」が画面に出るたびに興奮したファジサポも多かったのではないでしょうか。中でもチュニジア戦でのヘディングゴールを覚えている方も多いと思います。

 デューク選手がファジアーノ在籍中にW杯に出場したことで、FIFAからファジアーノ岡山への分配金として約15万米ドル(約2千万円)が支払われました(注2)。デューク選手からのファジへの置き土産を強化資金やクラブの施設整備など、チーム力強化に生かしてほしいですね。

⚽強力な2トップ~エリキ選手とデューク選手~


 快走する町田を語る上で欠かせないのが、J1でも十分に戦えそうなほど強力な2トップです。

 町田のエースであるブラジル人FWのエリキ選手は170センチと小柄ながら、多彩なテクニックとゴールへの執念を持ち味に、ここまで得点ランキング2位の15得点を記録。“相方”のデューク選手は、ファジサポの皆さまはよくご存じかと思いますが、オーストラリア代表でも活躍。圧倒的な高さだけでなくしっかりした足元の技術が持ち味です。

 今季は5得点と多くないですが、デューク選手が欠場したリーグ戦6試合は2勝2分け2敗という結果からみると、チームに不可欠な選手だと分かると思います。
ファジアーノでプレーしていたミッチェル・デューク選手=2022年
ファジアーノでプレーしていたミッチェル・デューク選手=2022年

 ファジが首位から勝ち点3をもぎ取るためには、この強力な2トップを封じる必要があります。ではこの2トップが火を吹いた例から特徴を見てみましょう。

 第20節長崎戦(6月11日)の3点目(後半13分)では、①サイドに流れたデューク選手がロングボールを後ろに頭でつなぐ ②ボールを受けたエリキ選手がサイドからクロス ③走りこんできたデューク選手がシュート―という形でゴールを決めました。

 第23節大宮戦(7月1日)の1点目(前半39分)では、①デューク選手へ浮き球のパス ②デューク選手が落としたパスをエリキ選手がシュート―という流れでの得点でした。

 二つの例からも分かるように、デューク選手のポストプレーから、エリキ選手がシュートに持ち込むのが最大の武器です。

 さらに東京Vから移籍したばかりのバスケス・バイロン選手は、早速第27節(7月22日)の千葉戦で、デューク選手のゴールをうまくアシストしています。強力コンビからトリオになりそうな予感があり、こちらも要警戒です。

⚽青森山田高校から続くロングスローには要注意 


 町田の象徴の一つが黒田監督の切り札、ロングスローです。ロングスローはスローインから20~30メートルもの遠投によりチャンスを創出します。青森山田高校が高校サッカーを席巻した戦術です。町田もほぼ毎試合ロングスローからチャンスを演出しています。第20節長崎戦(6月11日)の2点目(前半43分)や、オフサイドでノーゴールとはなりましたが第22節水戸戦(6月24日)の前半37分など前半からロングスローを多用し、ゴールまで迫ります。ファジDF陣は要警戒です。

 そんな町田ですが、ここ最近失点する試合が多くなっています。ファジが勝つための糸口は、町田の比較的失点の多いパターンであるカウンターになると考えます。第17節清水戦(5月21日)の1失点目(前半42分)、第23節大宮戦(7月1日)の2失点目(前半36分)などカウンターを受けた際、戻る人数の少なさや戻り方の悪さがしばしば見受けられます。カウンターを成功させる上では、町田の守備陣形が整う前に攻撃を完遂できるかどうかが重要です。

⚽ファジの注目選手


 私たちの注目選手は、町田の強力2トップに対峙(たいじ)するバイス選手と柳選手です。エリキ選手とデューク選手の連係を機能させないため、デューク選手の自由を奪い、気持ちよくプレーさせないことが大事です。昨年は練習を共にしていたデューク選手の弱点は熟知していると思います。マッチアップした際にはポストプレーを封じてほしいところです。また、エリキ選手とデューク選手の2トップはしばしばサイドに流れてきます。マークの受け渡しなどの連係もしっかりできれば、強力な町田攻撃陣といえども完封してくれると期待しています。

 まずは昇格プレーオフ圏内(3~6位以内)に浮上するため、町田戦での勝利は必須です。白星はきっと、チームに勢いをもたらすはずです。個人技に優れる町田の攻撃を耐えながら、カウンターで得点を狙い勝利するファジを見守りましょう。木山監督がアウェー清水戦の行為でベンチ入り停止となりますが、こんな時こそ選手たちには奮起して頑張ってほしいですね。(霜山純子、野見山翔太)

注1:2023年1月17日付Sportsnavi
注2:FIFA World Cup Qatar 2022 Club Benefits Programme Report

〇筆者紹介
霜山純子さん
霜山純子さん

霜山純子さん 岡山市出身。国外在住26年(カナダ・米国)。ファジを応援するようになったきっかけは、はるか昔、大学受験前に木村正明さんと能開センターで一緒だったことから。ファジアカを通して頼もしいファジサポの皆さんとつながれたことは大きな財産になっている。サッカー経験ゼロ・分析経験ゼロの自分がファジアカでの学びを通して感じたことをnote(https://note.com/kind_koala592/n/n0e1462612d53)にまとめている。
野見山翔太さん
野見山翔太さん

野見山翔太さん サポーター歴2年目。ファジアカを通じてファジアーノを応援するようになる。東京在住のため、今年の目標はシティライトスタジアムでの現地観戦。ファジアカで学んだことを生かしながら、昨年はカタールW杯を現地で7試合、今年は新婚旅行でフランスvsギリシャを現地で観戦した。海外サッカーでは15年以上アーセナルサポであり、アイドルは元フランス代表のアンリ。カタールW杯時の自作選手名鑑などをnote(https://note.com/mr_nomiyaman)に掲載中。写真は昨年のW杯日本vsスペイン戦直後のカタール・ファンビレッジにて。

〇ファジアーノ岡山フットボール本部アドバイザー・ファジアカ講師 久永啓
久永啓さん
久永啓さん

 見方を知ればサッカーはもっと楽しめる!

 サッカーを見る時に何に着目するかは人それぞれです。そこに唯一の正解や優劣はありません。一人ひとりの経験や知識、関心によって視点は変わります。その違いを楽しみ、学び合い、より広く深くサッカーを見る力を養っていくのがファジアカです。

 今回は、ご家族とのサッカートークを充実させたいと海外から参加された純子さんと、抜群の論理的思考で構造を解き明かすのが得意な野見山さんのペアです。「この話は息子が教えてくれたんですよ!」「こう整理したら読み手が理解しやすいんじゃないですかね?」と、意見交換する度に記事内容が洗練されていくのを感じながら取り組んでくれたのではないかと思います。ファジアカ1期の3カ月を同じグループで刺激し合ったお二人による町田戦の見どころです。

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