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上寺山 餘慶寺(うえてらさん よけいじ)

花の名所としても知られる餘慶寺
桜の季節には境内にお茶席ももうけられる

桜の頃の本堂周辺

十三仏堂

毎年10月に行われている寺宝展

薬師如来坐像(国指定重要文化財)

本堂から薬師堂への石組み(遊慶の庭)

入母屋造りの本堂(国指定重要文化財)

境内で見られるハスやスイレンの花

ライトアップされた千手観音像と三重塔

よけいじ寺子屋

一山寺院と神仏習合 県下屈指の大伽藍

代表的ご利益
病気平癒

<歴史>

1260年あまりの栄枯盛衰の歴史

 上寺山餘慶寺は、749(天平勝宝元)年、報恩大師の開基と伝えられる天台宗の古刹。往古には「日待山日輪寺」と称し、備前四十八カ寺のひとつとして栄えた。平安時代に、天台宗中興の祖、慈覚大師円仁の再興により「本覚寺」と寺号を改め、七堂伽藍が整えられるなど繁栄を極めた。しかし戦乱期の12世紀には、源平の争乱により近隣にあった今木城とともに支院や三重塔を焼失したという。

 その後、時代の進展とともに徐々に寺院の復興は進み、現在の寺号の「上寺山餘慶寺」と改めたが、時期を特定できる史料は発見されていない。江戸時代には、岡山藩主池田氏の庇護を得て栄え、最盛期には7院13坊を数えたという。

 同寺の特色を示すものとして、一山一寺多院制という伽藍構成が挙げられる。山内に、本堂である観音堂、薬師堂、三重塔、地蔵堂、鐘楼、日吉社、愛宕社、阿弥陀堂、八角堂、回廊(休憩所)などを連ね、さらに恵亮院、本乗院、吉祥院、定光院、明王院、圓乗院の支院6院が現存する。これらの堂塔や院の多さは中国地方の中でも珍しく、県内屈指の大伽藍といえる。

 このほかにも境内に隣接して「豊原北島神社」があり、神仏習合の伝統的な形態の名残をうかがい知ることができる。

<文化財・霊験>

悠久の時を超えて残されてきた寺宝

 1260年余りの長い歴史を刻む同寺は、貴重な文化財の宝庫としても知られる。

 国指定重要文化財の本堂(観音堂)は1570(永禄13)年に建立、1714(正徳4)年に再建されたもの。建物は、室町末期の密教本堂の特徴を色濃く伝えている。内陣には、本尊で秘仏の千手観世音菩薩が祀られており、33年に一度御開帳される。「東向き観音様」として多くの霊験を顕してきたと伝えられるが、中でも岡山藩主・池田継政公にまつわる言い伝えが有名だ。

 継政公が江戸に在勤中に重病にかかったおり、夢枕に千手観音が現れ「吾は国元、備前の東向きの観音なり。病苦を逃れんとするならば悩む心を祈る心に改め、あつく吾を祈れよ」と告げた。そこで備前の国中を探したところ、上寺山に東向きの観音様があるのが分かり祈願すると、たちまちに病気が治ったという。外陣には、継政公直筆の扁額が掲げられている。

 そのほか、江戸末期に6年の歳月をかけて再建された総高22メートルの三重塔、宇喜多秀家公が九州に遠征した際、戦利品として持ち帰ったと伝えられる梵鐘など寺院建築の数々を堪能できる。

 仏像では、中国地方を代表する傑作とされる国指定重要文化財の「薬師如来坐像」をはじめ、「聖観世音菩薩立像」、「十一面観世音菩薩立像」が傑出。そのほか、「千手観音菩薩画像」や室町時代の仏画「涅槃像」などを所蔵する。これらの文化財は、毎年10月に行われる「寺宝展」にて公開され、毎年大勢の参拝客が拝観に訪れる。

<花と自然>

自然の中を散策し四季の風情を味わう

 餘慶寺は37カ寺ある中国観音霊場の第二番札所。また百八観音霊場第三番札所にあたる巡礼の寺。餘慶寺のある上寺山は、地元では「うえてらやま」と呼ばれ、眺めの美しい地域の里山として親しまれてきた。頂上近くにある餘慶寺の駐車場からは、備前平野を流れる吉井川が一望でき、緩やかな山の稜線などパノラマが広がる。明るい開放感に包まれる境内はもちろん、周辺は遊歩道や休憩所なども整備され、ハイキングやウオーキングにも最適だ。

 本堂と三重塔、薬師堂を時計回りにつなぐ「遊慶の庭」も見どころのひとつ。2012(平成24)年の御開帳の時に整備されたもので、重森三玲師の弟子、俊軒園・岩本俊男師が「遊び、触れ合える庭」をテーマに作庭した。三重塔のまわりには石畳の歩道が整備され、さらにぐるりと囲むように蓮池や天然の青石が配置され、自然の造形をそのまま生かした浄土空間が広がっている。「石によじ登ったり腰掛けたり、石の感触を自由に味わってほしい」と岩本氏。百年、二百年先を見越し、訪れる人が親しみ自然と手を合わせたくなるような場にしたいと、さらなる構想を広げている。

 また同寺は、山陽花の寺24カ寺のひとつにも数えられる花の名所でもある。桜をはじめ、ヤマブキ、ツツジ、アジサイ、スイレン、ハス、モミジなど、四季折々の花が境内を彩る。特に春は、境内に植えられた約50本のソメイヨシノに加え、山一面に300~500本の自生の山桜が咲き乱れる。毎年4月1~8日ごろには「桜まつり」が開かれ、お抹茶などがふるまわれるカフェも営業される。また、10月中旬開催の寺宝展に合わせて開かれる秋の「もみじカフェ」も好評だ。

 そのほか、12月30日・31日に行われるライトアップも年末の風物詩。堂塔や社殿が幻想的に浮かび上がる中、除夜の鐘撞きや風船カウントダウンなどが行われ、お寺と神社の「両詣り」で、開運を祈願する初詣客でにぎわう。

<学び・供養>

納骨堂と葬儀ホールを備えたやすらぎの場

 地域に開かれた寺院を目指す餘慶寺では、一般の参拝客が気軽に体験できる行事も数多く用意されている。毎月2回開催される「よけいじ寺子屋」では、仏教の法話と合わせ、いろいろなテーマで文化講座を開催。参加無料で楽しく学ぶことができる。そのほか、筆または筆ペンを持参して誰でも体験できる「写経会」などもある。非日常に身を置き、経典に触れながら心を静めてみるのも一興だ。

 同寺には納経所や葬儀ホールを完備した餘慶寺会館があり、宗旨、宗派問わず、家族葬を42万円から執り行っている(入檀不問)。費用には祭壇や葬儀会場などの会場費、お棺や位牌など葬儀の道具代、お布施や戒名料などのお寺へのお礼等必要なものが含まれる。

 さらに「阿弥陀堂」という納骨堂もあり、永代供養の相談に応じている。現地での見学会・説明会を随時行っているので、気軽に問い合わせを。

ご案内

住所/〒701-4232 瀬戸内市邑久町北島1187
TEL/086-942-0186
交通/岡山ブルーライン・西大寺ICから車で10分。JR赤穂線・西大寺駅から車で10分
HPアドレス/http://www.yokeiji.jp
宗派/天台宗
ご本尊/千手観世音菩薩
開山/749(天平勝宝元)年
ご利益等/病気平癒(眼病)、厄除け、諸願成就 ほか
代表的寺宝/本堂(1570年、国指定重要文化財)、薬師如来坐像(10世紀、国指定重要文化財)、聖観世音菩薩立像(平安時代、国指定重要文化財)、十一面観世音菩薩立像(平安時代、県指定重要文化財)、三重塔(1815年、県指定重要文化財)、梵鐘(1571年、県指定重要文化財)、鐘楼、薬師堂 ほか

年間行事

毎月2回/よけいじ寺子屋
毎月8日/薬師護摩供
毎月18日/観音縁日
1月1~3日/修正会
3月春分の日/彼岸会
4月1~8日/桜まつり
4月8日/花まつり
7月1~3日/写経会
7月27日/寺遊び in よけいじ
8月15日/初盆供養会
8月最終土曜日/水まつり
10月16日/寺宝展
12月30・31日/両詣り、ライトアップ





【ちょっと 見ていかれぇ】

夢咲く地蔵

 本堂から薬師堂への石組み「遊慶の庭」のかたわらで、にこにこと愛らしく微笑むお地蔵様「夢咲く地蔵」と出会う。頭をなでると、つるつるとした感触がなんとも心地よく、思わず癒やされる。「大いに触れて親しんでほしい」とご住職。笑顔のおかげにあやかってみては。


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