山陽新聞デジタル|さんデジ

巖﨑山 本願寺 持寶院(がんきざん ほんがんじ じほういん)

本堂と客殿の前には、白砂が美しい主庭が広がる
本堂と客殿の前には、白砂が美しい主庭が広がる
巖﨑山 本願寺 持寶院(がんきざん ほんがんじ じほういん)
巖﨑山 本願寺 持寶院(がんきざん ほんがんじ じほういん)
観音堂に祀られた十一面観音菩薩像
観音堂に祀られた十一面観音菩薩像
組子細工や調度品が映える客殿
組子細工や調度品が映える客殿
歴史と風格を感じる山門
歴史と風格を感じる山門
永代供養の際に使われる涅槃堂
永代供養の際に使われる涅槃堂
美しい庭に映える見事なソテツ
美しい庭に映える見事なソテツ
静謐(せいひつ)なたたずまいの坪庭「かきの庭」
静謐(せいひつ)なたたずまいの坪庭「かきの庭」
起伏のある石組みが特徴の石庭
起伏のある石組みが特徴の石庭
落ち着いた景観の池泉回遊式庭園
落ち着いた景観の池泉回遊式庭園
児島の中心地に鎮座する古刹 美しい日本庭園に心洗われる

<歴史>

格式高い仏閣とご本尊が歴史と伝統を伝える

 真言宗御室派の別格本山寺院として、倉敷市児島の「児島ジーンズストリート」沿いに位置する古刹。開基については諸説あり、奈良時代の738(天平10)年に高僧・行信僧都が都よりこの地に着き、十一面観音菩薩を本尊としてお堂を建てて祀ったのが始まりと伝えられている。一方で、鎌倉時代の承和年中に開基されたと伝える巡拝記も存在するなど、開基の真相は長い歴史の中ではっきりしていない。天和書上によると、室町時代末期に中興の祖である幸信僧都により移築・再興され、この時に児島味野の白馬トンネル下にあった観音寺と、味野城にあった法楽寺(現在は住宅地で、旧公会堂横に宝筐印塔一基が残る)を持寶院に合併している。もともと持寶院の本尊は十一面観音菩薩だったが、この再開基の際に法楽寺の本尊であった薬師如来に本尊の座を譲った。児島八十八カ所霊場第二十六番札所として多くの参拝者が訪れている。近くにそびえる龍王山の中腹に奥の院 朝日の観音様(朝日観音堂)がある。

<境内案内>

見どころあふれる美しい庭園と建築

 境内には本堂と客殿、観音堂、涅槃堂(納骨堂)などの仏閣が並び、整備された庭と伝統建築が織りなす風景が訪れる人の目を楽しませる。山門を入って右手の客殿は江戸時代初期に建てられたもので、永代供養の際に使われる涅槃堂はステンドグラスを配した和洋折衷の内装が特徴。本堂には本尊の薬師如来像、観音堂には十一面観音菩薩像が祀られている。

 持寶院は庭の美しさでも知られており、境内は“今小堀遠州”とも言われる京都の作庭家・北山安夫氏が手掛けた多種多様な庭園を擁している。動きのある石組みで賽の河原を表現した「石庭」、落ち着いたたたずまいの「池泉回遊式庭園」、砂紋と横たわる「親子亀」の岩が印象的な白砂の庭と、それぞれに異なる美しさと趣きを感じられるのが魅力だ。また、客殿内には客人をもてなすための品格に満ちた2つの坪庭も設けられている(一般非公開)。日本庭園は拝観とともに無料で見学でき、仏様と向き合いながら心静かな時間を過ごすことができる。

ご案内
住所/〒711-0913 倉敷市児島味野2-5-8
TEL/086-472-2240
HPアドレス/https://jihoin.jp/
インスタグラムアドレス/https://www.instagram.com/jihoin_kurashiki/
朝日観音堂アドレス/https://asahiyamakannondo.localinfo.jp/
交通/瀬戸中央自動車道・児島ICから車で11分。JR瀬戸大橋線・児島駅から徒歩15分
宗派/真言宗御室派
ご本尊/薬師瑠璃光如来
ご利益等/当病平癒、身体健全、健康長寿、心願成就、家内安全
代表的寺宝/十一面観音菩薩像
御朱印/受付9時~17時、寺務所まで 300円 

年間行事

1月1日/修正会
3月15日/おねはんさん(涅槃会)
5月8日/釈尊降誕会(甘茶)
5月10日/弘法大師正御影供 おめいくう
 弘法大師の命日にあたる旧暦の3月21日に、大師を偲んで供養を行う。近隣の寺院と輪番制で行うため、年によって開催される日時と寺院が異なる。
7月15日~/お盆経の巡回
8月15日/施餓鬼会(おせがき)
12月31日/年越法要・除夜の鐘

【ここ、知ってる?】

伝統美が息づく寺院

 客殿内には漆芸家の故・山口松太氏の手掛けた扉絵があり、1匹の龍が今にも飛び出しそうなほど迫力満点に描かれている。持寶院では仏像や絵画などの美術工芸品が多く所蔵され、伝統建築や庭園も含めた見どころの多さも魅力となっている。


TOP