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子どもの貧困知って 思いを缶詰に 倉敷・コノヒトカン 8店舗で販売

倉敷市内の飲食店で販売されているコノヒトカンの缶詰
倉敷市内の飲食店で販売されているコノヒトカンの缶詰
 肉や魚を調理した缶詰を困窮する子どもに無償提供している一般社団法人コノヒトカン(倉敷市)が、子どもの貧困問題を広く知ってもらおうと提供品と同じ缶詰を市販している。手に取った人に伝わるよう、問題解決を目指す関係者の思いを込めたラベルが貼られ、岡山、倉敷市の飲食店を中心に計8店で1個1500円で販売。「子どもに目を向けてもらうきっかけにしたい」とする。

 牛すじ肉や野菜をトマトピューレで煮込んだ「ニク」、ぶつ切りの魚を骨まで軟らかく煮た「サカナ」の各160グラム。趣旨に賛同した企業の協賛金で料理人がレシピを考案し、ラベルには「子どもたちの明るい未来を目指す」と記した。2021年から岡山県内の児童養護施設などに届けている。23年は約2千個を提供した。

 購入で支援したいとの声もあり、同年からは手頃な価格の小型化に着手。生産コストと販売価格の折り合いが付かず、代表理事の三好千尋さん(42)=倉敷市=が「まずは困っている子どもがいることを伝えたい」と今年2月、提供品の販売に踏み切った。

 同市でネイルサロンを営む三好さんは子どもの頃、経済苦を経験。高校卒業後、美容業界の営業職に就き、結婚、出産を経て念願のネイリストになった。「多くの人に助けられた」との恩義から、新型コロナウイルス禍の際にはサロンの駐車場を飲食店の弁当販売会場に開放して支援。食品ロス問題も知り、食材活用を兼ねて缶詰の提供に乗り出した。

 売り上げは提供する缶詰製造などに充て、引き続き小型化を進める。三好さんは「子どもを本気で心配しているかっこいい大人がいることも伝われば」と話す。

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