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井原高新体操部 練習場確保に光 市、閉鎖の南校地跡地活用検討へ

市が検討委員会を立ち上げ、活用法を探る井原高南校地
市が検討委員会を立ち上げ、活用法を探る井原高南校地
 井原高南校地(井原市井原町)の閉鎖に伴い、全国に名をはせる同高男子新体操部が練習場所確保に不安を抱えている問題に光が見えてきた。同部の活動に力を入れる井原市が、6月にも検討委員会を立ち上げ、跡地活用に向けた協議を始める。問題が表面化してから1年余。学校の枠にとどまらず、幅広い用途を持った施設への転換が期待される。

 「地域のスポーツ拠点にしてはどうか」「老朽化した市立図書館を合わせた複合施設にならないか」「障害者向けの総合施設は」

 検討委設立の事業案が示された2月定例市議会の一般質問で、市議から活用法を問う声が相次いだ。

 市によると、検討委は約10人で構成する予定。スポーツや文化、高齢者向け、産業振興施設などが想定されることから、市内の各分野から委員を募る。候補に挙がった機能に校舎が対応できるかを判断するため、建築の専門家も加える方針で、2024年度中の施設内容決定を目指す。

譲渡が前提条件


 南校地跡地が問題となったのは、1年前の2月定例会。岡山県立高校の再編で、新体操部が拠点としている南校地が3月で閉鎖されるため、市が練習場所として借用する予算を計上した際、跡地の譲渡が借用の前提条件とされていたからだ。

 譲渡は、南校地全体を対象としており、市議会は「買い取ることになれば、市の負担が増える」などと反発。関連予算が削除され、市が「譲渡を前提としない」と県教委の意向を取り付けた後の4月26日の臨時会まで予算が認められなかった。

 議決を得るまでの約1カ月間、マットを常設する武道場が使えなかった新体操部。北校地にスペースを確保できず、市有の体育館を借りての練習を余儀なくされた。同部の長田京大監督は「生徒の成長につながったと思うが、不安は大きかった」と振り返る。

 市は、市議会の意向を踏まえ、別の練習場所を探したが、見通しが立たず断念。借用が1年間限りの措置だったため、24年度に南校地全体の有効活用を検討することで、県教委から1年間の借用延長を認めてもらった。

地域振興の中核


 県立高の部活動に、市がこれだけこだわるのには理由がある。

 同高新体操部は1999年、同好会として始まった。2005年の岡山国体を見据え、市教委が中心となって中学生主体のジュニアクラブを立ち上げ、中高一貫指導体制を構築。その後、小学生教室も設け、倉敷芸術科学大とも連携している。

 市教委は「井原はまさに新体操のまち。地域振興の中核を担う存在になっている。小中学生の練習にも影響するので、市が動く必要があった」とする。

 市は、検討委とは別に若者から意見を募る場の設置も想定する。大舌勲市長は「多くの人が関わり、集える施設になるよう、さまざまな提案をしてもらいたい。市の中心部という立地を生かし、有効活用したい」と話している。

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