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極楽浄土へ向かう一行 華やか 瀬戸内・弘法寺で踟供養

中将姫像を携えて極楽浄土へと向かう一行
中将姫像を携えて極楽浄土へと向かう一行
 瀬戸内市牛窓町千手の弘法寺で5日、奈良時代の伝説上の尼僧・中将姫(ちゅうじょうひめ)が極楽浄土へ向かう様子を演じる「踟(ねり)供養」(岡山県重要無形民俗文化財)が営まれ、華やかな一行が境内を練り歩いた。

 観音や地蔵の面を着けた住民や稚児ら約60人が、どらやほら貝を響かせながら境内の遍明院を出発。娑婆(しゃば)に見立てた約150メートル先の広場で、導師の黒井覚然・同院住職から中将姫像を受け取った後、極楽浄土になぞらえた同院に再び向かった。一行を阿弥陀(あみだ)如来像の被仏(かぶりぼとけ)(同県重要文化財)が出迎えると、多くの見物人が一斉にカメラを向けていた。

 初めて見たという自営業の男性(58)=福山市=は「厳かな雰囲気は見応えがあり、地域の歴史を感じた」と話した。

 同寺の踟供養は鎌倉時代に始まったとされ「日本三大ねり供養」の一つに数えられる。阿弥陀如来像が極楽浄土で迎える様式が全国で唯一現存し、2016年には国の「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」にも選定されている。

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