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備前焼の魅力感じて 「ハルカの陶」岡山で先行上映へ

映画「ハルカの陶」の一場面((C)2019「ハルカの陶」製作委員会)
映画「ハルカの陶」の一場面((C)2019「ハルカの陶」製作委員会)
技術指導に協力した備前焼作家の(左から)宮尾さん、山本さん、伊勢崎さん
技術指導に協力した備前焼作家の(左から)宮尾さん、山本さん、伊勢崎さん
 備前焼が題材の映画「ハルカの陶(すえ)」(末次成人監督)が25日から、イオンシネマ岡山(岡山市北区下石井)で先行上映される。備前市で行われたロケでは、作家らでつくる県備前焼陶友会が全面協力。作陶シーンはもちろん、窯や器も本物を使うなど細部までこだわった作品になっており、「備前焼の魅力を伝える大きなチャンス」(同会)と期待する。

 東京のOL小山はるかが、備前焼の展示会で偶然目にした若手作家の大皿にほれ込んで弟子入りし、陶芸家を目指して奮闘する物語。漫画が原作で、はるか役に新進女優の奈緒さん、若手作家を平山浩行さん、人間国宝役を笹野高史さんが演じている。

 昨年10月の備前焼まつりから約2週間にわたったロケを、中心となって支えたのが陶友会の山本竜一副理事長(55)、伊勢崎創さん(51)、宮尾昌宏さん(49)。土練り、ろくろ、窯焚(た)きの撮影に付き添い、技術指導した。

 「単なるヒューマンドラマではなく、備前焼の歴史や技法を忠実に再現してほしいと制作側に注文した」と山本さん。特に難度の高いろくろを使うシーンで助言した伊勢崎さんは「ぎこちなさがとれて、本物の作家らしい力強さが演出された」と評価する。

 ヤマ場の窯焚きでは実際に火入れし、千度以上に。宮尾さんは「千度を超えた炎は強烈なまぶしさで、照明では表せない。窯出しの際に焚き口を確認する目線にも気を配ってもらった」と振り返る。美術監修も担い、はるかが魅了された大皿、物語で重要な意味を持つ鶴首徳利(とくり)、工房に飾った作品なども同会が用意した。

 夫婦で作陶する作中人物のモデルとなった竹崎洋子さん(44)は「女性作家ならではの苦労も多いが、作陶は魅力にあふれている。陶芸女子が増えるきっかけにもなれば」と言う。

 作家以外にも大勢がボランティアで携わった。「備前焼はもちろん市全体のPRにつなげたい」と、スタッフの送迎や食事提供に協力した地元カキオコ店「暖里(ゆるり)」店主中村智浩さん(48)。今夏、東京で行われた試写会にも自前で足を運ぶほど思い入れは強い。こうした地域の熱意が伝わり、奈緒さんは撮影後も再び備前市を訪れ、作家とともに作品鑑賞に巡るなど交流が続いているという。

 売り上げ低迷やファンの高齢化など備前焼を取り巻く環境は厳しさを増す中、試写を見た山本さんは「命懸けで備前焼と向き合う姿勢が感じられ、私たちの思いが反映された作品になった。若い人にぜひ見てもらいたい」と話す。

(2019年10月11日 20時08分 更新)

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