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『イソップの思うツボ』 今回も、企みに満ちネタバレ厳禁

(C)埼玉県/SKIPシティ彩の国ビジュアルプラザ
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 『カメラを止めるな!』で一躍時の人となった上田慎一郎が、2015年のオムニバス映画『4/猫 ねこぶんのよん』を競作した中泉裕矢、浅沼直也と3人で共同監督した新作だ。SKIPシティ国際Dシネマ映画祭を主宰する彩の国ビジュアルプラザが全面支援している。ちなみに、『カメ止め』では中泉監督が助監督、浅沼監督はスチールを担当した。

 監督が3人ならヒロインも3人で、イソップ童話を思わせる名前が共通する。亀田美羽は、ドジで内気な女子大生。兎草早織は、人気“タレント家族”の一人娘で恋愛体質。そして戌井小柚は、その日暮らしの代行屋の娘だ。そんな3人、というより3家族が一堂に会する時、命懸けの“バトルロワイヤル”な物語の本筋が姿を現す…。

 今回も企みに満ちたネタバレ厳禁の内容で、嘘っぽさやチープさにもちゃんと意味があって重要な伏線になっているところが『カメ止め』のチームらしい。単なるエンターテインメントで終わらず、映画という表現手段の可能性を刺激するアプローチもしかり。個人的に最も好きなのは、食卓で横並びに食べていた母娘が突然座る位置を変えて向かい合う演出。本来は禁じ手である会話シーンの理由のない席移動が、物語の伏線としてクライマックスで回収されるから。『カメ止め』に引けを取らないとまでは言わないが、今度もまたローバジェットを逆手に取った見応えのある意欲作だ。★★★★☆(外山真也)
監督・脚本:上田慎一郎
監督・共同脚本:浅沼直也、中泉裕矢
出演:石川瑠華、井桁弘恵、紅甘
8月16日(金)から全国公開

(2019年08月13日 08時09分 更新)

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