山陽新聞デジタル|さんデジ

岡山発映画ニュース

真庭在住の映画監督山崎さん新作 弱者に声に光「やまぶき」製作中

山崎監督(左から3人目)の演出で撮影が進む「やまぶき」のロケ=4月15日、真庭市立中央図書館
山崎監督(左から3人目)の演出で撮影が進む「やまぶき」のロケ=4月15日、真庭市立中央図書館
 真庭市在住の映画監督、山崎樹一郎さん(40)の新作「やまぶき」の製作が進んでいる。登場するのは原発事故で避難してきた母子や外国人労働者、デモに通う女子高生。真庭を舞台に、現代の抱えるひずみに苦しみながら懸命に未来を模索する姿を描く。山崎監督が「社会派に振り切った」という群像劇で、社会的弱者の声なき声を映し出す。

 撮影6日目の4月15日。真庭市立中央図書館(同市勝山)のロケ現場では、主人公の一人、女子高生の山吹が白いボードに大きく文字を書き込んでいた。「銃口に花束を! 沖縄に平和を!」。ジャーナリストの母を戦地で亡くした彼女が、政府の取り組みに反対する無言デモに参加するためのプラカードだ。

 「何でこんな世界になっているのか、という半分絶望です」と、新作の端緒を語る。目につくのは、ナショナリズムやあしき個人主義のまん延、広がる貧富の格差、平気でうそをつく大人たち。「窮屈で、生きづらさが漂っている」と憤る。

 他の主人公は、福島第1原発事故で家族と別れて避難してきた美南(みなみ)と娘の卯月。採石場で働くも、不慮の事故で正社員になれなかった韓国人チャンス。それぞれが取り巻く環境への不安や家族関係、貧困などに揺れ動き、葛藤しつつ、問題に向かい合う。

 タイトルは半分日陰になる場所にひっそりと群生し、桜が散った後に県北の山を黄色く彩るヤマブキからとった。「静かで地味な所にも、たくましく生きる人はたくさんいる」

 大阪府生まれで、2006年に父の実家のある真庭市に移住。農業を営みながら、若い酪農家の苦悩と家族の絆を描いた「ひかりのおと」(11年)、江戸時代の美作国で起こった山中一揆を題材にした「新しき民」(14年)など地域に根ざした作品を発表してきた。

 長編3作目となる今回は、東京や大阪などの映画仲間が協力し、同市を中心に岡山市や鳥取県でもカメラを回した。作品の世界観を生かすため16ミリフィルムで撮影しており、フィルム代や現像費など300万円を、インターネットで出資を募る「クラウドファンディング」で集める。専用ページ(https://motion-gallery.net/projects/yamabuki)で6月18日まで受け付けている。

 「この映画をともに育てるように関わってくれるとうれしい」と山崎監督。作品は11月完成予定で、20年以降に公開される。

(2019年05月06日 16時19分 更新)

【岡山発映画ニュース】の最新記事

あなたにおすすめ

ページトップへ