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老老介護と絆 娘の視点で記録 信友監督映画、岡山で公開

「カメラを回すことは深呼吸のようだった。状況を引いて見ることができ、救われた」と振り返る信友監督
「カメラを回すことは深呼吸のようだった。状況を引いて見ることができ、救われた」と振り返る信友監督
映画「ぼけますから、よろしくお願いします。」の一場面((c)「ぼけますから、よろしくお願いします。」製作・配給委員会)
映画「ぼけますから、よろしくお願いします。」の一場面((c)「ぼけますから、よろしくお願いします。」製作・配給委員会)
 80代後半で認知症になった母と、90歳を超えて介護を担う父の姿を、娘の視点で記録した映画「ぼけますから、よろしくお願いします。」が、シネマ・クレール丸の内(岡山市北区丸の内)で上映されている。老老介護の厳しい現実とともに、夫婦、親子の揺るぎない絆を真正面から映した話題作だ。舞台あいさつに来岡した信友直子監督(57)=横浜市=は「認知症になることは不幸ではない。映画が介護に悩む人の何かヒントになれば」と語った。3月1日まで。

 信友監督は呉市生まれ。大学進学で上京し、卒業後は映像製作会社などでテレビのドキュメンタリー番組作りに携わってきた。

 2000年頃から帰省のたびに両親を撮影してきたが、転機は14年。母の文子さんがアルツハイマー型認知症と診断された。「撮影を続けて良いか迷った」ものの、病気に苦悩する母と、父良則さんによる介護の姿を捉え続けた。

 95歳で初めて家事に挑む良則さん。慣れない手付きでリンゴの皮をむく。耳の遠い父と母のかみ合わない会話がクスッと笑える、穏やかな日々が流れていく。

 しかし病状が進むにつれ、母は以前は完璧にこなしていた家事が何もできなくなり、起き上がることさえ難しくなる。「迷惑かけるね。ごめんね」と繰り返し、感情を抑えきれず「邪魔にされるなら死んだ方がええ」。泣きじゃくる姿に、監督がカメラ越しに泣きながら諭す声も収録される。

 「でも決して、つらいだけではないんです」と監督。父に甘える母と、まんざらでもない表情で応える父の絆や、献身的に支える父のかっこよさ…。「認知症になったから得られた収穫もあった」

 上映後には「皆さんすごい熱量で、介護の体験や家族の話をしてくれる」と笑顔をみせる。「両親の姿を公開して良かったのかとずっと悩んでいた」というが、「2人は自分たちの老いた姿を『これが人生なんだ』と、覚悟を持ってカメラの前でみせてくれた。皆さんの反応をみて、良い親孝行になったなと思っています」と胸を張った。

(2019年02月20日 08時03分 更新)

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