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岡山メルパ、ファンら別れ惜しむ 駅東口の再開発に伴い31日閉館

1月末で閉館する岡山メルパ。開館当時、複数のスクリーンを備えた施設は地方では画期的だったという
1月末で閉館する岡山メルパ。開館当時、複数のスクリーンを備えた施設は地方では画期的だったという
映画「GODZILLA」公開初日、チケット売り場の前に列を作る人たち=1998年
映画「GODZILLA」公開初日、チケット売り場の前に列を作る人たち=1998年
 岡山の映画史に名を刻み、33年余りの歴史に幕を下ろす。JR岡山駅東口の再開発事業に伴い31日、閉館する「岡山メルパ」(岡山市北区駅前町)。複数のスクリーン、イベントホール、飲食店…。時に館外にあふれるほどの人を集め、地方では珍しかったという複合娯楽施設に親しんできた映画ファンらは、思い出の詰まった場所との別れを惜しむ。

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 「夫婦で何度も通ってきた。『男はつらいよ』『釣りバカ日誌』などを見て、商店街で一杯飲んで帰るのが休日の楽しみだった」

 今月中旬、閉館を知って映画を見に来た男性(72)=岡山市中区。「時代の流れで仕方ないとはいえ、さみしい」と残念がる。

 戦後間もない1946年、同地区に開業した「岡山松竹座」を前身に、「岡山東映」などを経て88年6月にオープンした岡山メルパ。メルパ(MERPA)とはMOVIE、EVENT、RESTAURANT、PARKING、AMUSEMENTの頭文字だ。

 開業時、7階建てのビルに三つのスクリーンを備え、多目的ホールや飲食店、レンタルビデオ店が入居。運営する福武観光の福武義修社長は「岡山の情報発信基地を目指し、一日楽しめるスポットを作りたかった」と語る。

独自路線展開

 開館は、岡山空港(愛称・岡山桃太郎空港)の開港や瀬戸大橋の開通と同じ年だった。

 全国から岡山への注目が高まる中、映画史研究家の世良利和さん(64)は「映画産業の低空飛行が続いていた時期だったので、新しい時代の幕開けのように感じた」と振り返る。福武観光によると、「GODZILLA(ゴジラ)」(98年)「千と千尋の神隠し」(2001年)など話題作ともなれば、チケットを求める長蛇の列ができたという。

 岡山県内初のシネコン(複合映画館)、MOVIX倉敷が倉敷市にできたのは1999年のこと。2006年にはTOHOシネマズ岡南(岡山市)、14年にイオンシネマ岡山(同)が開業し、「昔ながらの1館1スクリーンからマルチスクリーンの時代への過渡期を象徴する映画館」(世良さん)は、シネコンとの競争にさらされる。

 高画質な大型スクリーン、立体的な音響を可能にする複数のスピーカーなど、最新設備を投入する大型施設に真っ向から対決するのは困難。差別化を図ろうと、コア層に人気のアニメや韓国映画、観客のリクエスト作の上映など、独自路線を展開してきた。開館以来通い続けているという男性(60)=岡山市北区=は「ここでしか公開されないようなインディーズ系の映画を楽しみにしていた。空き時間にふらっと立ち寄って、好きな席で見られる気軽さが良かった」と思いをはせる。

名称引き継ぐ

 「商店街のイベントにも積極的に協力してくれた良きパートナーだった。大きな存在を失ってしまうが、再開発後も手を取り合っていけたら」と話す岡山駅前商店街振興組合の土居和正理事長(53)。映画関連グッズ専門店「シネマ・コレクターズ・ショップ『映画の冒険』」(同奉還町)代表の吉富真一さん(64)は、常連の一人の立場からも「地元の映画館を応援したい」と、上映作にまつわるグッズ販売などでタイアップしたこともある。

 多くの人に愛されてきた「岡山メルパ」。その名前は閉館後、引き継がれることが決まっている。

 福武観光は福武ジョリービル(同中山下)5階のジョリー東宝(1スクリーン)を改称して営業する予定。「メルパと言えば映画館というイメージが定着しており、これからもよろしくお願いしますという感謝の意味を込めて名称を残した」と言う福武社長。「再開発後の再開館については未定だが、にぎわい創出につながる施設を検討したい」としている。

28日から「さよなら興行」


 岡山メルパで28~31日、「メルパビルさよなら興行」が行われる。上映作は28日午後7時25分=「ロミオ+ジュリエット」▽29日午後1時20分=「桐島、部活やめるってよ」▽30日午後1時20分=「仮面ライダーBLACK 鬼ケ島へ急行せよ」(監督は岡山市在住の元映画監督・小西通雄さん)「仮面ライダーBLACK 恐怖! 悪魔峠の怪人館」▽31日午後7時20分=「ファイト・クラブ」。各日千円。問い合わせは岡山メルパ(086―221―0122)。

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