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遍光山 蓮華院 千手寺(へんこうざん れんげいん せんじゅじ)

2016(平成28)年に新築したばかりの美しい山門
2016(平成28)年に新築したばかりの美しい山門
遍光山 蓮華院 千手寺(へんこうざん れんげいん せんじゅじ)
境内からは岡山平野が一望できる
境内からは岡山平野が一望できる
遍光山千手寺縁起之記
遍光山千手寺縁起之記
内陣
内陣
遍光山 蓮華院 千手寺(へんこうざん れんげいん せんじゅじ)
遍光山 蓮華院 千手寺(へんこうざん れんげいん せんじゅじ)
地場大師八十八カ所霊場のマップ
地場大師八十八カ所霊場のマップ
吉備津神社別当本願寺千手観音(千手寺本尊御前立)
吉備津神社別当本願寺千手観音(千手寺本尊御前立)
ダキニ天式盤、聖天式盤本尊(通常非公開)
ダキニ天式盤、聖天式盤本尊(通常非公開)
五芒星
五芒星
五芒星と地場大師八十八カ所霊場で有名な吉備国千手観音のお寺

<歴史>

報恩大師開山と伝わる高野山真言宗の古刹

 岡山平野を見渡す丘陵に鎮座する、高野山真言宗の古刹。寺に伝わる「遍光山千手寺縁起之記」によると、752(天平勝宝4)年に報恩大師により開山され、以降は栄枯盛衰を繰り返しながら1326(嘉暦元)年に宥範法印によって復興。1585(天正13)年、宗覚僧都によって再興がなされた。その後は仁和寺の末寺となり、京都本山直末の一等格院の寺格を有する。第二次大戦後、高野山真言宗に転派して現在に至る。近隣には2つの坊舎跡が今も残され、かつて大伽藍であったことがしのばれる。

 ご本尊は吉備国千手観音菩薩で、吉備真備公が行基菩薩に作らせた千手観音像の一体と伝承される。報恩大師は尊崇する行基菩薩自作の千手観音を、行基巡錫の地と伝わる千手寺本堂にご本尊として祀ることで、吉備国の守りとした。また不動明王、毘沙門天も33年に一度開帳される秘仏として祀られている。

<見どころ>

地場大師八十八カ所霊場

 同寺の地場大師八十八カ所霊場は、四国の弘法大師八十八カ所霊場(本四国霊場)を勧請したもの。岡山県内の八十八カ所霊場の中でも古く、1784(天明4)年の弘法大師九百五十年御遠忌法要の際の開創とされている。四国への巡拝が容易でなかった当時、弘法大師の恩徳を慕う地域の人々が喜捨して建立したものだ。近隣の旧4カ村を四国に見立てて配置されているのが特色で、よく本四国霊場の形を伝えている。一周するのに半日から一日近くかかる。

 境内は整備が行き届いており、本堂のほかに客殿、鐘楼堂、大師堂などが並んでいる。本堂祈祷檀では、吉備真備が伝えた陰陽道十八万巻の中の肝心である「盤法」の一種、ダキニ天式盤、聖天式盤本尊が祀られている。2016(平成28)年に新築された山門は、もともと武家屋敷の門を移築しており、大師堂は1655~1658年(明暦年間)に岡山藩主・池田光政が金剛山遍照寺法界院(岡山市北区)から移転したものと伝わる。

 建築様式としては禅宗様で弘法大師を祀っており、堂宇の近くには修行大師像が立つ。また、堂内の厨子の天頂部に、陰陽道の五芒星が祀られていることも同寺の珍しい特徴だ。

 大師堂を囲むように四国八十八カ所の砂を収めた踏み石がある。踏みながらお堂の周りを一周すると、岡山平野と吉備の中山を一望することができ、参拝者にも好評だ。

 2021(令和3)年には千手寺合祀墓が完成した。墓の維持管理に困っていたり、継承者がいなかったりといった悩みを抱える人々から、好評を集めている。

ご案内

住所/〒701-0165 岡山市北区大内田581
TEL/086-293-0713
HPアドレス/https://senjyuji.web.fc2.com/
フェイスブック/https://www.facebook.com/100066788103832/
交通/JR山陽本線・庭瀬駅から車で7分
宗派/高野山真言宗
ご本尊/吉備国千手観音菩薩
開山/752(天平勝宝4)年
ご利益等/心願成就、悩み事の解決、除災招福
代表的寺宝/涅槃図、めひき大師掛け軸、阿字観掛け軸(いずれも原則非公開)
御朱印/受付9時~16時、松本住職まで 300円
※不在時は紙朱印を用意

年間行事

毎月1回/密教志塾
隔月1回/陰陽堂の会
1月1日/新年祈願会
成人の日/初観音大祭
4月8日/花まつり
7月または8月/お盆法要
8月21日/お施餓鬼法要

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千手寺合祀墓

 同寺の檀信徒になることが必要だが、一霊5万円から納骨が可能。墓前にて年4回、合同の読経供養が行われる。また年回忌のお知らせも送られるので、ご遺族が施主となって年忌法事ができることも特長だ。興味がある方はお気軽に同寺まで問い合わせてみてほしい。

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