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自転車ヘルメット 着用わずか 努力義務開始、売れ行きは好調

街中を行き交う自転車。改正道交法施行の初日、ヘルメットをかぶった人は少なかった=岡山市北区駅前町
街中を行き交う自転車。改正道交法施行の初日、ヘルメットをかぶった人は少なかった=岡山市北区駅前町
ヘルメットの売れ行きが好調な自転車販売店。買い求めやすい価格帯の商品は品薄になっている=1日、岡山市北区島田本町
ヘルメットの売れ行きが好調な自転車販売店。買い求めやすい価格帯の商品は品薄になっている=1日、岡山市北区島田本町
 自転車に乗る人のヘルメット着用を全年齢で努力義務とする改正道交法が施行された1日、岡山市街ではヘルメットをかぶる人の姿はあまり見られなかった。一方、自転車販売店では一部商品が品切れとなるなどヘルメットの売れ行きが好調で、着用への意識は徐々に高まっているようだ。

 午後1時過ぎ、岡山市のJR岡山駅周辺。若者や子どものグループ、お年寄りらの自転車が頻繁に行き交う。大型商業施設前では30分の間に百数十台が通ったが、ヘルメットをかぶった人はわずか数人だった。

 未着用の人に理由を聞くと、「月に数回乗るだけなのに、いちいち買いたくない」と岡山市の女性会社員(59)。同市の女子大学生(18)は「暑いし、髪のセットが崩れる」と話した。改正法自体を知らない人も少なくなかった。

 岡山県警によると、2013~22年に県内で起きた自転車事故の死傷者のうち死者が占める割合は、ヘルメットをかぶっていなかった場合が着用時の約4・7倍に上る。改正法は事故死のリスクを減らす狙いだが、罰則規定がないため、まだ徹底されていない。

 県内のある県立高校でも1日に部活で登校した生徒はほぼ着用していなかった。この学校の2年男子は「持ち歩くのが面倒。今後もかぶらない」ときっぱり。野球部顧問の男性(50)は「あくまで努力義務で、学校として強制はできない」と頭を悩ませる。

 ただ、改正法による関心の高まりから、ヘルメットは品薄になっている。県内の各自転車販売店によると、2月ごろから低価格帯を中心に買い求める人が増え、5千円程度の商品は特に売れている。在庫がなくなったという専門店「ブラヴォ岡南店」(岡山市南区築港栄町)は「メーカーにもなく手の打ちようがない」。「cycleZ(サイクルゼット)」(同市北区島田本町)も「売れ筋は入荷のめどが立っていない」といい、1日も複数の問い合わせがあった。

 改正法施行に合わせた取り組みはさまざまな場で進んでおり、岡山市は1日からコミュニティーサイクル「ももちゃり」の運営本部(同市)でヘルメットの無料貸し出しを開始。中国銀行やトマト銀行も、県内各地の支店に営業用自転車のヘルメットを置くなどしている。着用の意識が浸透するには、こうした動きの広がりも必要となりそうだ。

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