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地方の人口移動 岡山の流出加速が際立つ

地方の人口移動 岡山の流出加速が際立つ
 総務省がまとめた2022年の人口移動報告は、岡山県にとって厳しい結果となった。変動が大きい外国人を除き日本人の移動を分析した。

 転出から転入を差し引いた「転出超過数」は、前年比21・6%増の3505人と過去10年で最多だった。新型コロナウイルス禍前の19年と比べて転出超過数が拡大したのは、全国でも岡山、広島、香川の3県だけである=表

 今回の報告では、東京都の転入超過数が前年の3倍以上に増えるなど、東京圏への人口流入が目立った。東京、大阪圏以外で転入超過となったのは宮城、茨城、滋賀、福岡の4県にとどまる。コロナ禍の行動制限が緩和され、人口の大都市回帰の傾向が強まっている。流れを変える手だてを探らねばならない。

 地方は人口流出が目立ったとはいえ、コロナ前と比べればそのペースが鈍化している地域が多い。山梨は転出超過数が19年と比べて99・5%縮小したほか、栃木、群馬、長野、奈良、熊本、鹿児島の各県は超過数が半分以下になった。一方、岡山は19年比で7・3%、広島は13・7%、香川は7・9%拡大した。岡山は、10年前には転出超過数が全国でも2番目に少ない県だったが、22年は多い方から数えて14番目である。以前と比べても人口流出の勢いが増していることを深刻に受け止めるべきだ。

 岡山の転出超過数の内訳を年代別に見ると、20~24歳が1916人で最も多く、20代で全体の8割以上を占めた。45~49歳と55~79歳は転入の方が多いが、20代の流出を補うには程遠い。岡山から転出超過が多い地域は、東京1398人、大阪882人、神奈川411人などだった。仕事を選ぶ段階で大都市圏に出る人が多いことがうかがえる。

 岡山県は23年度、都市と地方に拠点を持つ「2地域居住」や、旅先で仕事をする「ワーケーション」の誘致などで転入者を増やす方針を掲げている。ただ、リモートワークが広がり地方移住が注目されたコロナ禍でも、岡山は転出超過が続いているのが現実だ。このままでは地域の活力が失われていく。人口流出の原因をきちんと分析し、転出者の増加を食い止める戦略を抜本的に練り直す必要がある。

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