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〈春立つと拭ふ地球儀みづいろに…

 〈春立つと拭ふ地球儀みづいろに〉山口青邨。きょうは立春。暦の上とはいえ春の声を聞けば心が弾む。地球の大方を占める水の色も明るく見えよう▼枯れたり凍ったりしていた川の水が山野に流れだす。水道の水が少しぬるむ。そんな春の兆しを探す中で、胸のざわつく話である。各地の河川、井戸水や湧き水から有害性が疑われる「PFAS」の検出が相次いでいる▼PFASは4700種を超える有機フッ素化合物の総称だ。水や油をはじき、熱に強いことから20世紀半ば以降、あらゆる製品に使われてきた。フライパンのコーティング、ファストフードの包み紙、大規模火災用の泡消火剤…▼ところが自然界でほとんど分解されない。水や大気を通して世界中に広がり、土壌や生物の体内に残留する。中でも「PFOS」「PFOA」の2物質については発がん性など人への毒性がかねて指摘されており、国際的に使用の禁止や規制が進む▼国も対策強化に乗り出した。環境省と厚生労働省は先月、水道水に含まれる濃度の目標値などを巡る議論を開始。内閣府の食品安全委員会も新年度には、農作物などから取り込んだら健康にどう影響するか調査に取りかかる▼「永遠の化学物質」とも呼ばれるPFAS。人類が便利で安全な暮らしを求める限り、青い惑星にはびこっていくのだろうか。

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