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高校の探究学習(上) 生徒を変える新たな学び

「高校生探究フォーラム」で発表する青陵高の生徒
「高校生探究フォーラム」で発表する青陵高の生徒
 昨年末、岡山市内であった「高校生探究フォーラム」(岡山県教委主催)を訪ねました。県立高の7割を超す38校が参加し、探究的な学習の成果を発表しました。

 新しい学習指導要領でうたわれた探究学習が2022年度から高校で本格的に始まりました。高校でも小中学校と同様にこれまで「総合的な学習の時間」がありましたが、講演会を聞くだけなど学校ごとに取り組みに差がありました。そこで高校では名称を「総合的な探究の時間」に改め、内容も見直されました。

 探究学習とは(1)課題を見つける(2)必要な情報を集める(3)情報を整理し分析(4)気づきや自分の考えをまとめて発表する―という一連の流れを個人やグループで行うものです。

 フォーラム会場で青陵高の発表を聞きました。文系、理系が混在する4人のグループはごみのポイ捨てをITで減らせないかと考えたそうです。岡山大に相談してスマートフォンのアプリの作り方を教えてもらい、最も近いごみ箱までの経路が表示されるアプリを開発しました。

 大学との連携に驚かされましたが、学外へ学びを広げていくのは探究学習の特徴でもあります。何より印象に残ったのは生徒たちの楽しそうな表情でした。「自分の力で社会を変えられると思うとわくわくする。やりたいことをかなえるために大学や学部を選びたい」と2年小野日向汰(ひなた)さん(17)は話します。

 同校では1年生で探究学習に必要な情報検索の仕方などの基本的技術を学び、2年生で「ゼミ活動」と称してグループごとに探究学習に取り組みます。教員は教えるのでなく“伴走者”となり、各グループに必要な助言をします。

 進学校の普通科で本格的に取り組んでいるのも意外でした。青陵高の内田博文校長は「他県のトップ校も取り組んでいます。大学入試も変化していますから」と話します。

 多くの大学が書類審査と面接などを組み合わせた総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜(旧推薦入試)の募集定員を増やしており、これらの選抜を通過して21年春に入学した受験生は国公私立大全体では半数を超えました。

 知識偏重ではなく、主体性や探究する力を育む学びが求められていることを、まずは私たち大人が知っておく必要があります。

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