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先に74歳で訃報が届いた元プロ…

 先に74歳で訃報が届いた元プロ野球選手の門田博光さんは、豪快なスイングで歴代3位の通算567本塁打を放った。だが、奈良・天理高時代から社会人1、2年目にかけては、まるで打てなかったそうだ▼それが「ある日、ポンとコツのようなものがわかった気がした」と、自著「門田博光の本塁打一閃(いっせん)」にある。1960年代、岡山の社会人野球の顔だったクラレ岡山にいた頃のことである▼たゆまぬ鍛錬のたまものに違いない。野球部の宿舎には大きな鏡があり、その前の木の床に2カ所、磨いたようにきれいなところができていた。素振りを続けた門田さんの足の跡だ▼一人で振りを確かめながら毎晩100回。息を抜かないスイングだけを数えていたから、実際はもっと多く振ったという▼その後、南海(現ソフトバンク)に入団したが、「夜中でも素振りの音がビュンビュン聞こえた。何百人も選手を指導してきたが、あんな努力家はいない」。社会人当時の監督が本紙のかつての連載記事「球譜一世紀」で語っている▼プロ野球はあす、キャンプインを迎える。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の代表選手が注目されるものの、若手にとっては日頃、積み重ねてきた鍛錬の成果を示す場にもなる。岡山ゆかりの選手から、門田さんに並ぶ新星が現れることを期待したい。

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