「ステマ」広告 口コミ装う宣伝に規制を
インターネットや交流サイト(SNS)上で、広告であることを明示せず普通の口コミを装って商品などを宣伝する手法を「ステルスマーケティング(ステマ)」と呼ぶ。ステルスは英語で「こっそり行う」の意味である。消費者庁はこうした広告を問題視し、今年中に景品表示法の禁止対象に加える方針を打ち出している。
ステマには、企業や店舗などの依頼で、口コミサイトに高い評価を書き込んだり、SNS上で影響力を持つ「インフルエンサー」らが個人の感想であるかのように商品を宣伝したりする例がある。消費者は広告と分かれば「ある程度誇張されているだろう」と考えるが、ステマの場合は警戒感を抱かないまま商品を選んでしまう恐れがある。消費者保護の観点から法規制を急ぐべきである。
ステマは2012年、飲食店のランキングサイト「食べログ」で、やらせ業者による順位操作が明らかになり問題になった。業者が「おいしい」などと投稿する見返りに店側から報酬を得ていた。テレビ局のアナウンサーが美容室で無償サービスを受け、代わりにSNSで自身の写真を使わせていたとして批判された例もあった。
消費者庁がインフルエンサー300人に行った調査によると、ステマを依頼された経験がある人は41%に上り、うち45%はその依頼を受けたと答えた。SNSでは「副業紹介」などと称して通販サイトに不当に高評価なレビューを書き込む人を募集するケースも見られる。発覚していないものを含めれば、ステマは相当広がっているとみるべきだろう。
欧米ではステマに一定の規制がかけられている。日本では、宣伝内容が実際より良いと思わせる「優良誤認」などの不当表示があれば景表法で規制されるものの、ステマを直接取り締まる規定はない。業界団体がステマを防ぐガイドラインを設けているが、団体に加盟しない中小零細の広告業者も多く、有効に機能しているとは言い難い。
消費者庁が昨秋設けた有識者による検討会では、景表法が禁止する不当表示の類型に「消費者が事業者の表示だと判別することが困難だと認められるもの」との項目を加えることを提言した。違反した場合は、再発防止命令や事業者名の公表といった行政処分が想定されている。
ただ、ステマは判別するのが難しいという課題がある。規制を設けた後も、行政が定期的に実態調査を行うなど、実効性を高める対策を取る必要があるだろう。
インフルエンサーに対しては、ステマが消費者を欺く行為であることを理解させ、加担しないよう周知していくことが求められる。消費者側もネット上に紛らわしい広告が広がっている実態を踏まえ、書き込みをうのみにしないよう注意することが大切だ。
ステマには、企業や店舗などの依頼で、口コミサイトに高い評価を書き込んだり、SNS上で影響力を持つ「インフルエンサー」らが個人の感想であるかのように商品を宣伝したりする例がある。消費者は広告と分かれば「ある程度誇張されているだろう」と考えるが、ステマの場合は警戒感を抱かないまま商品を選んでしまう恐れがある。消費者保護の観点から法規制を急ぐべきである。
ステマは2012年、飲食店のランキングサイト「食べログ」で、やらせ業者による順位操作が明らかになり問題になった。業者が「おいしい」などと投稿する見返りに店側から報酬を得ていた。テレビ局のアナウンサーが美容室で無償サービスを受け、代わりにSNSで自身の写真を使わせていたとして批判された例もあった。
消費者庁がインフルエンサー300人に行った調査によると、ステマを依頼された経験がある人は41%に上り、うち45%はその依頼を受けたと答えた。SNSでは「副業紹介」などと称して通販サイトに不当に高評価なレビューを書き込む人を募集するケースも見られる。発覚していないものを含めれば、ステマは相当広がっているとみるべきだろう。
欧米ではステマに一定の規制がかけられている。日本では、宣伝内容が実際より良いと思わせる「優良誤認」などの不当表示があれば景表法で規制されるものの、ステマを直接取り締まる規定はない。業界団体がステマを防ぐガイドラインを設けているが、団体に加盟しない中小零細の広告業者も多く、有効に機能しているとは言い難い。
消費者庁が昨秋設けた有識者による検討会では、景表法が禁止する不当表示の類型に「消費者が事業者の表示だと判別することが困難だと認められるもの」との項目を加えることを提言した。違反した場合は、再発防止命令や事業者名の公表といった行政処分が想定されている。
ただ、ステマは判別するのが難しいという課題がある。規制を設けた後も、行政が定期的に実態調査を行うなど、実効性を高める対策を取る必要があるだろう。
インフルエンサーに対しては、ステマが消費者を欺く行為であることを理解させ、加担しないよう周知していくことが求められる。消費者側もネット上に紛らわしい広告が広がっている実態を踏まえ、書き込みをうのみにしないよう注意することが大切だ。