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冬の江戸で、町内の旦那衆が夜回…

 冬の江戸で、町内の旦那衆が夜回りに出た。一回りして番小屋で火の周りに集まっていると、ひょうたんに入った酒を一人が取り出す。ここで飲むなんて心得違いも甚だしい。他の旦那はそう言いながら、土瓶に移し、これは煎じ薬だと強弁して酒盛りを始める▼落語の「二番煎じ」だ。そこに来た見回りの役人は自分も風邪をひいているのだと言う。やむなく旦那の一人が一杯差し出すと、うまそうに飲んで「結構な薬だ。もう一杯」―▼悪事に目をつぶるだけではなく、自らも積極的に関わるやからは現代にもいるのか。東京五輪・パラリンピックのテスト大会を巡る入札談合事件での大会組織委員会である▼競技ごとに実績のある企業をまとめた表を入札前につくって受注調整していた疑いがある。発注に関わった元幹部は全ての競技で担当企業を確保できるかどうか心配だったというが、酒を煎じ薬と強弁するような苦しい言い訳にも聞こえる▼汚職事件に続いて、不正は底なしの感がある。五輪を呼び込んだ、あのスピーチについての駄じゃれを思い出す。落語家の立川談四楼さんの著書「もっとハゲしく声に出して笑える日本語」にあった▼「お・も・て・な・し」。表無し。つまり「う・ら・は・あ・り」―。スポーツの感動とは懸け離れた舞台「裏」の闇に、徹底した捜査のメスを。

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