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赤テントに懸けるPart2(4)ブライアン・ドレスナーさん 見せ方追求 観客引き込む

九つのリングを使ったジャグリングを成功させ、観客にアピールするドレスナーさん。会場の盛り上げ方を常に研究している
九つのリングを使ったジャグリングを成功させ、観客にアピールするドレスナーさん。会場の盛り上げ方を常に研究している
 高く投げ上げ、落ちてきた九つのリングを目にも止まらぬ速さでつかみ、首にかけていく。3回挑み、いずれも惜しくも失敗。舞台裏に引き上げようとするのを他の団員が「もう1回」と引き留めると、会場からも期待する拍手が起きた。

 「ちょっと待ってくださーい」

 ブライアン・ドレスナーさん(35)が困った顔で両手を広げて訴えると会場から笑いが起きた。汗を拭き、もう一度挑戦。今度は成功させ、走り回って喜びを爆発、観客に拍手を求めた。

 ドレスナーさんはリングのほかに帽子やボウリングのピンのようなスティックを使ったジャグリングで観客を魅了。決して派手ではないが、2時間余りの公演の中でひときわ大きな歓声が上がる。

 「技の中身と同じくらいに、どう見せるかにこだわっている」とドレスナーさんは説明する。

 9代続くアルゼンチンのサーカス一家に生まれた。幼少期から大小さまざまなサーカスに所属してチリやペルーなど南米を移動する生活を送った。

 ジャグリングとの出合いは6歳。メキシコで見たサーカスで、男性が口を使ってピンポン球を空中に飛ばしキャッチする芸などをしていた。難しい芸ではなかったが、オーバーアクションや観客とのユーモラスなやり取りなどで見る人の心をつかんでいた。

 他の家族のようにアクロバット芸が得意ではなかったドレスナーさんの心は、その時決まった。「テクニックを見せるだけがサーカスではない。見せ方次第で立派なエンターテインメントになる」

 毎日8時間練習し、半年後、ジャグラーとしてデビュー。メキシコを中心に10団体以上のサーカスを渡り歩いて腕を磨いた。

 木下サーカスとは2014年に出演契約。これまで所属してきたサーカス団体の中では最も長く在籍する。ショーのレベルの高さだけでなく、売店や誘導スタッフらの丁寧な接客態度とサービス精神が、パフォーマーとしての自身の姿勢にもマッチしたという。

 「笑ったり驚いたり。日常を忘れられる時間を提供し続けたい」

 ショーの間に観客の目がみるみる変化し、最後は笑顔になる。舞台でそれを感じるのが幼い頃からの変わらぬ喜びだ。

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