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岡山のケア児支援 「頼れるセンター」目指せ

 日常的にたんの吸引や人工呼吸器などが必要な「医療的ケア児」と保護者を支えるため、岡山県が「医療的ケア児支援センター」を社会福祉法人旭川荘(岡山市北区祇園)に開設して、きょうで1カ月になった。

 昨年施行の医療的ケア児支援法に基づくものである。保健師や社会福祉士が相談に応じ、市町村や医療、福祉施設とも連携して短期入所などの連絡調整も行う。

 開設後、保育所の入所や学校生活などについての相談が寄せられているという。利用者の声を踏まえて支援を改善し、「頼れるセンター」になってもらいたい。

 医療の進歩で新生児の救命率が上がり、ケア児は全国で推計約2万人と、過去10年で倍増している。

 共同通信の調査によると、支援センターは岡山、香川など39都道府県が3月までに開設済みか、本年度中の設置を決めていた。残りの広島など8府県は設置へ向けた準備や必要性の検討をしていた。

 専門知識のある職員がワンストップで対応し、必要な制度や窓口につなげることを目指すものの、職員は1、2人のケースもあり、広い管内の医療機関や学校、市区町村と連携するには体制も権限も十分ではないのが実情だ。

 その点、岡山県はスタッフ7人と体制が比較的整っていると言える。加えて、2013年度から旭川荘に委託し、ケア児の調査や看護師らの研修、短期入所施設の拡充などに努めてきた実績もある。

 ただ、ケア児は県内でも昨年5月時点で約350人に増えているとされる。保護者が働きたくても、ケア児を受け入れる保育所はわずかで、世話のために諦めざるを得ないことが多い。医療的ケアを行える看護師がいる学校もまだ少なく、通学時の付き添いなど保護者の負担は重い。

 まずはケア児が出生後に退院する際、病院からセンターの存在を紹介してもらうのをはじめ、当事者や保護者が支援からこぼれ落ちないよう関係機関と連携したり、情報交換したりする必要がある。

 切れ目のない対応に向け、国も先月、支援を強化した。ケア児の主治医が小中学校などの校医らと生活上の注意を文書で共有すると、診療報酬を加算する仕組みがあり、この範囲を保育所や幼稚園、高校に拡大した。

 一方、課題となっているのが、制度のはざまにいると言える「歩けるケア児」である。従来は知的、身体障害が重複する重症心身障害児が多かったが、医療の進歩で気管切開などの手術をしていても自力で歩くなど動ける子が増えてきた。

 大半は自宅で暮らし、保護者が介護するものの、重症児向けの短期入所などは制度上利用できず、医療的ケアが可能な看護師のいない保育所も預かりが難しい。支援を求める声が保護者らに強く、岡山でも対応を検討してほしい。

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