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備中神楽 持続可能な継承模索 社中連携で現状打破 フェス計画も

高梁市成羽町成羽の大元八幡神社で披露される備中神楽。コロナ禍以前は各地の秋祭りで奉納されていた=2018年10月
高梁市成羽町成羽の大元八幡神社で披露される備中神楽。コロナ禍以前は各地の秋祭りで奉納されていた=2018年10月
 国の重要無形民俗文化財「備中神楽」の伝統の灯を守ろうと、神楽師たちの模索が始まっている。長年の懸案である担い手不足に加え、2年前からは新型コロナウイルス禍で“メインステージ”の秋祭りは軒並み中止となり、上演機会は激減した。歴史が途絶えたり、地域住民の関心が薄れてしまったりすることへの危機感から、各社中が持続可能な神楽の継承を目指して連携。その第一歩として、子ども神楽のフェスティバルといった新たな発表の場を計画している。

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 岡山県西部に伝わる備中神楽は、現在の高梁市に生まれた国学者・西林国橋(1764~1828年)が古事記や日本書紀などを題材に神話劇に仕上げた。神事の厳粛さと芸能としての面白さを併せ持ち、1979年に国の重要無形民俗文化財に指定された。

 岡山県神社庁神楽部によると、2021年4月現在、同部所属の神楽師は181人。瀬戸大橋が開通した1988年には400人を超えていたが、約30年間で半減した。80年代に約70社を数えた社中も、2021年は41社にまで減っている。

 神楽部の大塚芳伸副部長は、元々少子化で後継者の育成が難しくなっていることに加え、新型コロナウイルス禍が神楽の未来に暗い影を落としていると指摘する。

 出演者や見物客の密を避けるため、感染が広がり始めた20年から、秋祭りでの奉納が各地で中止となり、イベントへの出演も次々と取りやめとなった。大塚副部長が代表を務める備中成羽社も、子ども神楽と合わせ年間80回ほどあった舞台はほとんどなくなった。

 「現状を打破するには、社中同士が連携する場が必要」と言うのは、神楽文化を応援するNPO法人かんなぎ(岡山市北区加茂)の今野友紀理事長。取り組みの一つとして、県内の社中に呼び掛け、8月に子ども神楽のフェスティバルや若手の担い手が将来を話し合うシンポジウムを計画する。

 大塚副部長は「それぞれのしきたりや地域の枠を超え、神楽の未来を考える前向きな場にしたい」と話している。

 山陽新聞社は、地域の方々と連携して課題解決や新たな魅力の創出を図る「吉備の環(わ)アクション」として、各社中やNPOの動きを丹念に追い、紙面などで報道。令和の時代の新たな備中神楽像をともに探っていく。

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